事務局日誌: 東アフリカに迫る干ばつの影

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昨年末から日本各地で、寒波による記録的な大雪が続いている。年が明けてもこの寒波はおさまりそうもない。一昨年の津波といい、年末に天災が重なるように思えるのは気のせいだろうかと思っていたら、今度はタンザニアのお隣、ケニアから干ばつのニュースが飛び込んできた。

ケニアではとくに北部を中心として、2002年の干ばつ以来、深刻な降雨不足の状態が続いる。この年末の小雨期にも雨が降らず、ついに数十年来ともいわれる危機的な干ばつの様相を呈し始めているとのこと。北部の乾燥地では、牧畜を中心とした生業を営む人々がほとんどであるが、現地では長引く降雨不足から穀物も牧草も育たず、次々と家畜が死んでおり、人々はすでに飢餓状態にあるという。

現在同国の人口の「1割」にあたる約250万人が生存の危機に直面しており、キバキ大統領はこの年末、ついに事態は「国家的災害」の域に達しつつあるとして、世界に対して緊急食料援助を要請した。

年末に日本で映画「マサイ」が封切られた。舞台は干ばつに襲われたケニアにあるマサイの村。今まさにその同じ事が、ケニアで起きている。

東アフリカでは、同じくタンザニアの隣国マラウィが深刻な干ばつに見舞われている。タンザニアが心配されるところであるが、やはり雨は降っていない。幸いにしてケニア、マラウィほどに深刻な事態とはなっていないが、それでも私たちの主力活動地であるキリマンジャロ山でも、登山口にあるモシの町の降雨量は、この15年以上経験したことのない小雨となっている。年末には村人から、水源となる泉の水量が落ち始め、一部の給水パイプラインでは断水するところも出始めているとの連絡が入った。

新しい年を迎えたばかりであるが、4月に本格化する大雨期の雨量、穀物の作況と価格推移を、注意深くウォッチしていかなければならないだろう。

残念ながらキリマンジャロには、映画「マサイ」に出てきた、村に雨をもたらすことのできる伝説の獅子ヴィチュアはいない。水源となる泉も、それをもたらす森も、自分たちの力で守っていかなければならない。村人たちは森と泉を守るため、今年はこれまでで最大規模となる植林に取り組もうとしている。

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