メンバーによる取り組みとしていま進めている、「手作り辞書」(英語→スワヒリ語)について、現地の声を聞いてみたいという意見がありましたので、まだ若干ですが、確認してみました。話を聞いたのはテマ村村長のムチャロ氏です。
タンザニアでは小学校まではスワヒリ語教育ですが、中学になると先生の教える言葉もテキストも、すべて英語に切り替わってしまいます。学内の会話ですら、英語しか許されなくなります。そのため、教育熱心なテマ村ですら、中学に進学した生徒のうち4割くらいしか英語をよく理解できないといいます(現地の先生の話)。
ムチャロ村長は日本のメンバーによる手作り辞書の取り組みの話にとても感動してくれ、みんながテマ村のこと、そして村の子ども達のことを思ってくれていることを、心から噛みしめている様子でした。
その一方で、配布の方法に関しては、彼は違う意見を言っています。こちらでは完成した辞書は、出来る限り学校の生徒全員に配布したいと考えていました(もちろん無料で)。ところが村長は、何事もタダで全員にあげてしまうのは良くないと言います。
彼の意見はこうです。
「学校には残念ながら勉強に興味を持たない、とくにこの場合、英語に興味を持たない子どももいる。そうした子どもにただあげても、それは家の片隅で使われることもなく眠っているだけになってしまうかも知れないし、或いはひどいときには、他の必要な人に売られてしまうだけかも知れない。そうならないためにも、熱心に勉強している子ども、そして英語に少しでも関心を持っている子ども達に、まず配るようにした方が良いのではないか。」
とのことでした。
私自身は、確かに英語に興味のない子どももいるだろうし、場合によっては売られてしまうこともあると思うし、逆にそれでも良いのではないか、辞書がない、英語が分からないことで英語に興味を持てない子どももいるはずだし、最初から辞書を配る生徒を分けてしまうことは、辞書があればもしかしたら英語に興味を持てたかもしれない子どもたちの、大きな機会損失になるのではないか、といった考えを述べてみたのですが、この件に関しては最後まで平行線でした。
もちろんこちらの考えを押し付けることは良くなく、最終的には現地の人たちの意見に従うのが良いと思いますが、このことに対する皆さんの意見、お考えはいかがですか?その意見なども伺った上で、こちらの人たちとさらに議論を深めてみたいと思います。また、辞書に作成はまだまだ時間がかかることでもあります。ここで結論を急ぐものではありません。時間をかけて、お互いに一番納得のできる良い結論を出していければ良いなと思っています。
そうそう、それから村長はこんなことも言っていました。
「辞書といっても、1年生と7年生(現地の小学校は7年制)とでは必要とされる辞書のレベルも全然違うだろう。」可能なら低学年、中学年、高学年用と3種類くらいに分けないと、子ども達の必要性にうまくマッチしないのではありませんか?」
と。もっともなことです。この辺も、ではどの学年に的を絞った辞書にしていくのか、考えておく必要がありますね(いま手掛けようとしているものだと、高学年用になりますか?)。
それでは現地にて、首を長くして、皆さんのご意見をお待ちしていますね!