事務局日誌: ついに電気がやってきた!

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 TEACAの裁縫教室で電動のロックミシンを使う少女

TEACAの裁縫教室で電動のロックミシンを使う少女

 

この度めでたくTEACAの事務所にも電気が入ることになった。私たちの活動拠点である、キリマンジャロ山東南山麓にあるテマ村のオリモ小学校付近(標高約1,600m)に電気が来たのは、2003年末のことだ。電気が来たといっても実は電線の本線が来ただけで、そこから先に配電されることはなかった。なぜなら各家庭への電気の引込費用は各家庭の負担であり、その費用を捻出できる村人は殆どいなかったからである。したがって電気の恩恵を真っ先に受けたのは、村の中心的存在である教会くらいのものであった。

それでも村に向かって電線が延びてくる頃から、将来の電気の引込みに備え、辛抱強くお金を貯め始める村人もいた。村でごく一部電気を手にした村人というのは、こうした人々である。しかしその後ある日突然、各家庭への電気引込費用は、それまでの倍近い額に値上げされてしまった。ほとんどが食費に消えていく彼らの月収の、2~3倍に相当する額である。「いつか電気を手に入れたい」と願っていたほとんどの村人にとって、その”いつか”は神のみぞ知る遠い未来の話になってしまった。

さてその電気であるが、いまタンザニアは大停電(計画停電)に喘いでいる。もともとの発端は、ここ数年の降雨不足に加えて、昨年末の小雨期にもほとんど雨が降らなかったことが致命傷となり、タンザニアに7カ所ある水力発電用のダムが水位を保てなくなったことにある(タンザニアは電力の90%以上を水力発電に頼っている)。年初の一番酷いときで、一日16時間もの計画停電に追い込まれた。

それが4月に始まる大雨期に、切望されていた雨が降り、計画停電も解消されたと思ったのも束の間、再び一日12時間の計画停電が実施されることになった。ダムのある一部地域では、まだ十分な雨量が確保されていないこともあるようだが、それ以上に政府の見通しの甘さと、国の長期的なエネルギー展望に対する無策ぶりが明らかとなった。さらに今回のこの状況を生み出した背景には、電力供給会社であるTANESCO/TESCO(民営化され、南アフリカ企業が資本参加)の経営怠慢による責が大きいように思われる。

最近では政府はこうした状況が年末まで続くと言い始めている。しかも計画停電再開の直前に、電気料金は5%値上げされたのだから、国民はたまったものではないだろう。

TEACAの事務所にもようやく電気が入り、事務所で村の女性を対象に開催している裁縫教室でも、仕上用のロックミシン(電動)がやっと使えるようになった矢先のこの値上げと計画停電。

「急がば回れ、電気なんてロクなもんじゃない」なんてまだ電気を持たぬ村人たちは言っているだろうか。この悪しき経験をきっかけに、今後タンザニアでは急速に代替エネルギーの検討が進みそうである。しかし国家の基幹をなすエネルギー部門を、民間のそれも外国資本に売却するというやり方が、果たして本当に国の発展に寄与し、国民に利益をもたらすのか、タンザニア政府にはその検証を、この際きっちりやってもらいたい。同様に民営化された水道部門では、タンザニアの実質的な首都ダルエスサラームの水供給事業が、やはり外資系企業の手に委ねられ、何らの改善を見ることなく破綻してしまった。

こうした電力、水道を含む公共部門の民営化は、世銀・IMFによる援助・債務削減の前提条件となっており、その点ではタンザニア政府には限られた選択肢しかなかったかも知れない。しかし援助を受けた結果、国民がますます困窮するというのでは本末転倒どころか、国の借金を増やすだけともなりかねない。

公共部門の民営化が本当に所期の目的を達成しているのか、それともただ外資に食いものにされているだけなのか、現実に起きていることを見ていると、首を傾げたくなるばかりである。

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