今回は前回の報告(’12/9)で触れた渡航目的の1つである、ガイドブック等のツールの製作のために集めたデータについて、「今までの集めたデータが果たして正しいのか」という懸念を解消する為に行った各イベントを中心に報告させていただきます。1つ目は、村や森にある植物や薬草、伝統文化に精通するお年寄りの皆さんと行ったミーティング(以降、有識者ミーティングと表記)で、2つ目は村の女性グループのFarajaとのミーティングについてです。また、上記の目的とは違う目的で行ったものですが、3つ目にテマ村にあるOlimo小学校とのミーティングについてもご報告いたします。
初めに有識者ミーティングについてです。Rafikiプロジェクトでは、活動発足当初より村人たちと一緒に村や森にある村人にとっての自慢(貴重な天然資源や文化、伝統にまつわるものなど)のデータを集め、村人とともに森や村の良さを再発見、またひいては森を守ることの重要性を考える取り組みを行ってきました。自慢として挙げられるものには、たとえばテマ村における伝統的水路があります。村には複数の伝統水路が張り巡らされており、伝統農法を行う上で大変重要なものです。こうしたものも含め、様々な情報を集めてきました。しかし、渡航が重なるにつれ、集めたデータの整合性の問題(ある調査対象物に対し、複数の人から情報を得たことによって情報の不一致が生じた等)が発生しました。そこで今夏の渡航では、村・森の自慢が掲載されたスワヒリ語版ガイドブック(ガイドブックについては’11/11を参照して下さい。)発行に向けて、この問題解消のために村のお年寄りの皆さんに集まって頂き、データを確認することにしました。
ミーティングでは植物、薬草を議論の中心に据えました。それら1つ1つの情報を、現在までに制作した英語版のサンプルガイドブックをもとに、有識者たちの意見と突き合わせ、情報が合致しているか、また足りない情報はないか等を話し合いました。計画では1日ですべての確認を終える予定だったのですが、予想以上に時間がかかってしまい、1日では終えることが出来ませんでした。そこで後日再度会議を行い、データの確認を完了することができました。
(画像1) 有識者ミーティングの様子
次にFaraja女性グループとのミーティングです。このグループは伝統料理や薬草等を守り伝えることを目的の1つとしています。このミーティングにおいても、主にガイドブック用の情報の確認と収集を行いました。彼女たちの薬草園にて、ガイドブックに掲載予定の植物・薬草の実物画像を取得し、また、今までに集めてきた情報を確認することができました。
最後にOlimo小学校とのミーティングです。Rafikiプロジェクトでは、これまでに「村・森の自慢かるた」を作ってきました。かるたを導入した目的は、主に小学校の生徒たちに遊びを通して、村や森の良さや文化、伝統などを学ぶためのツールとして活用してもらうためです。今回は、昨年夏の渡航で彼らに初めて渡したかるたの改良版をもって行きました(「かるた」に関しては’12/3を参照してください)。当初の予定では、教員や生徒にいままでかるたを使用してみて気づいた点・発見・新アイデアなどの聞き取りや意見交換を行い、かるたの試合を含むいくつかの計画も提案する予定でした。しかし、残念なことに今回の日程がタンザニアの国勢調査と重なってしまい、学校が休校となってしまったことから生徒たちと直接会うことができませんでした。(タンザニアの国勢調査は日本と違い、調査員が各家庭を訪問した際に、家族全員がそろっていなければならないそうです。そのため生徒や教員と直接会うことはできませんでした)。そのため、校長先生にかるたを渡すのみとなりましたが、前回渡したかるたの使用状況や評判については聞くことができました。また、今後近隣の学校とのかるたの対抗試合についてもその可能性を探ってもらうことにしました。その理由は、かるたの試合を通じて、よりそのかるたを使う機会を増やしてもらうこと、また、地域など、より多くの人々にかるたによる取り組みを知ってもらうためです。次回渡航の際にかるたの対抗試合を行えたらと思っています。
(画像2) 事務所に遊びに来た子供にカルタについて尋ねる
今夏の渡航では、「今まで集めたデータの正誤を確認するという目的及びガイドブックに掲載するための画像撮影や、植物の基本データ集めについては、ほぼ達成することができました。今後の課題は、今回のデータを基にスワヒリ語版のガイドブックを完成させ、それを多くの村人に活用していただくものとすることです。またそのデータを用い、かるたやイラストマップ等のその他のツールについても、より充実したものにしていきたいと考えています。