第46号 ハリナシバチ(2015/5)

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(写真1)ハリナシバチの巣

(写真1)ハリナシバチの巣

(写真2)収穫されたハリナシバチのミツ

(写真2)収穫されたハリナシバチのミツ


タンザニア・ポレポレクラブの現地カウンターパートであるTEACA(Tanzania Environmental Action Association)は、キリマンジャロ山麓の村で植林など様々な活動に取り組んでいる住民たちのグループを支援しています。そうした支援の一つに、それらのグループが自分たちの力だけで活動を持続していけるようにすることも含まれています。たとえば自立支援プロジェクトの一つである養蜂プロジェクトでは、収穫したハチミツの販売収入を、そのグループの活動資金として役立てていくことが出来るようになります(養蜂にはそれ以外にも、木を切って収入を得るのではなく=材として販売、木を植えることで収入を得られるようにする=木が花を咲かせそこで養蜂ができるようになる、という環境保全と両立する収入代替としての狙いと、養蜂による収入向上を通して環境保全への意識がさらに高まるという狙いもあります)。

TEACAはこの1年間に改良養蜂箱100箱を計10カ村のグループに対して支援し、6月にはこれらのグループに対して養蜂セミナーも実施する予定です。

ところでTEACAが実施している養蜂プロジェクトでは2種類のハチを飼っていることをご存じでしょうか?1種類はみなさんもよくご存じのミツバチ(Apis mellifera)ですが、もう1種類はハリナシバチ(Meliponinae spp)と呼ばれる、その名の通り針のないハチです。このハチは体調が8mmほどしかなく、しかも色が黒いため、知らない人が見たらきっとハエだと思うでしょう。針がないためとても臆病で、巣の前に立つと入り口で顔をのぞかせていたハチたちはすごすごと巣の中に引っ込んでしまいます。

ところがこのハリナシバチのハチミツは、普通のミツバチのハチミツに比べて薬効が高いと言われており、村でも普通のハチミツの1.5倍~2倍の高値で売られています。普通のハチミツ自体、現地では薬として使われる高価なものですから、このハリナシバチのハチミツはまさに高級品(1リットルで米なら10kg~15kg買えます)。なぜ薬効成分が高いかというと、ハリナシバチの巣(写真1)は普通のミツバチと違って、巣全体があのプロポリスで出来ているためです(普通のミツバチの巣は蜜?)。このプロポリスがミツにも溶け込んでいるため薬効が高いようで、ハリナシバチ自身も普通のミツバチに比べてずっと病気になりにくいことが知られています。この薬効の高さはハリナシバチが棲息する世界の熱帯地方各地で経験的に知られていたようで、古代マヤ民族の人たちにはハリナシバチの神様がいたほどです。TEACAがハリナシバチのミツを収穫すると、3リットル(!)くらいまとめて買う村人が毎回誰かしらいるのですが、彼らにとってもそれほど価値のあるハチミツなのです。

 

〔No.46 その他の内容〕

 ● 大統領に届くか、地域の声

 ● 活動の現場から

  ・植林活動(キリマンジャロ山麓に新規拠点苗畑立ち上げ、他)

  ・生活改善(新たにカマド職人を養成、他)

  ・活動の自立(養鶏プロジェクトの高いポテンシャルと課題)

  ・その他(養鶏セミナーを実施)

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