小規模苗畑グループによるグループ積み立て

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積み立てを記帳している通帳

積み立てを記帳している通帳

 

TEACAはタンザニアの3つの州(ダルエスサラーム州、キリマンジャロ州、アルーシャ州)で10カ所の苗畑グループの植林活動に協力している。それぞれの苗畑グループに対して必要な種子や植林道具の支援を行うとともに、定期的にグループを訪問し、育苗や植林に関する技術指導およびグループの活動上の問題点等に対してアドバイスを行っている。

TEACAはこれらの支援や取り組みを通して、各地域に苗畑グループの育成を図り、地域の人々の手による植林活動を定着させるべく努力を続けてきている。

これまでは植林活動そのものに重点を置いた取り組みが中心であったといえる。一方、これに対して、苗畑グループの活動の持続性確保(とくに資金面での自立)を目指して、2007年度よりグループ積み立てという、新たな課題に着手した(小学校苗畑など、村の公的機関は積み立ての対象外としており、実際に積み立てをしているのは全10グループ中5グループである)。

2007年度は積み立てに対する合意形成と導入に漕ぎ着く段階までで終わったため、本格実施は2008年度からとなった。掲載している写真は、キリマンジャロ州にあるキディア女性グループの積み立て記録であるが、実施1年を経過して、積み立てに対する理解が十分得られたかといえば、まだまだそうでもない。積み立てを確実に行っているのは、5グループ中2グループだからだ。

合意形成は図られたとはいえ、実際にお金を持ち寄り、積み立てるというのは、意思表示としての「合意」とはまた別問題ということだと理解している。今後のTEACAの協力や支援は、自立に向けた実態としての意思表示として、グループ積み立てを前提としている。積み立てをしなければ協力の継続は原則として得られなくなる。また、このグループ積み立ては、積み立てが将来グループメンバーの生活改善に繋がっていくような仕組み(ヤギ銀行)もあわせ持っている。

それにも関わらず積み立てが確実に行われないことは、この取り組みにまだ何かが欠けていることを示している。それは将来の約束に対する不安なのだと考えている。自立も生活改善も、積み立てを行ったその場で実現するものではない。TEACAの協力を得られなくなる痛手はあるにしても、グループ全体のために身銭を切ることの意味や不安が、払拭されていないということだろう。

この問題を解決する一番の処方は、約束を現実のものとする、すなわちそれを実証し、示していくということである。いくつかのグループは一時的に脱落するかも知れない。しかし根気よく積み立てを続けるグループが、積み立てによる成果を示せるようになった時、まわりのグループに対する大きな説得力を持つようになる。

2009年度は、こうした粘り強く積み立てを続けるグループとの協議を続けながら、さらなるグループ積み立ての改善を図っていく。早ければ2009年度中にも、ヤギ銀行の仕組みによる1頭目の子ヤギを手にできるグループが出てくるだろう。決して急ぐつもりはないが、確実に結果に結びつけられるよう、じっくりフォローしていくつもりである。

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