現地カウンターパートのテアカは、昨年からポーランドのNGOからも支援を受け、新規プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトは作物等の残滓(バイオマス)を利用した代替燃料(炭)の製造プロジェクトです。
使用する残滓とは、たとえば現地の主食作物であるモロコシを収穫した後の茎の部分や、山羊の餌とした後の木の枝などです。また、新たなバイオマス原料を村内で確保するためにヒマワリやキャッサバの導入などを図っています。
タンザニア全体を見た時に、森林減少の主要な要因は日々の煮炊きに使用される薪炭材ですから、代替燃料の確保は森林への圧力を減ずるための効果的なアプローチだといえます。また薪の採集は女性も担う重労働であり、代替燃料が村内で確保できるようになれば、そうした労働の軽減にも繋げることができます。加えてこのプロジェクトは、製造した炭の販売によるテアカの収入事業としていくことを意図しており、成功すれば一石三鳥のプロジェクトということになります。
テアカはPEAEFの支援を受け、昨年モシ県にある小中学校および村で活動している様々なグループの合計20カ所を対象として、この代替炭製造プロジェクトを開始しました。2、3月の現地調査時にはテアカの事務所脇にもすでに製造施設が建っており(写真1)、それ以外にも何カ所かプロジェクトが導入された現場を訪問する機会がありました(写真2)。
見て回った範囲では稼働している施設はなかったのですが、一石三鳥を狙うこのプロジェクトにはいくつか課題があるように思えます。まず、炭の原材料となる作物等のバイオマス残滓ですが、それらは残滓だからと言って決して捨てられているわけではなく、家畜の餌や畑の肥料とするために利用されています。これを炭の原材料として使われてしまうと、それらが不足することになります。かといってバイオマスを確保するための新たな作物は、いまのキリマンジャロ山のようにすでに空いている土地がない地域では導入するにも限界があります。
もっとも大きな問題の一つは、大量のバイオマスをコンスタントに確保する手段です。テアカは毎日50kg程度の隅を製造したいとしていますが、そのためには最低でも250kg程度のバイオマスが必要とされ、その分量の確保や運搬手段、コストが課題となってきます。さらに集めた大量のバイオマスを炭化、粉砕、成形するプロセスの作業負荷の問題があります。テアカは普及にあたって女性グループも対象としていますが、女性にはこの作業は相当大変なものです。学校でも作業人員の確保やそのコストが問題となってきます。
各家庭でも現在は煮炊きに薪を使用していますが、これを炭に切り替えるには炭用のコンロを買わなければなりません。その価格も決して安くはなく、これも普及の障害になってきます。
最後はプロジェクト自体のランニングコストで、それなりの量の炭を製造しようとすれば、専従要員を確保する必要があり、その人件費が重くのしかかってきます。炭を買ってもらうためには売価をかなり安く設定する必要があり、炭販売による収入ではプロジェクトのランニングコストをカバーできない恐れが多分にあります。
こうしたことから、プロジェクトを導入したのに稼働していないという状況が生まれています。といってもまだ失敗と決めてしまうのは早計で、上記のような課題、問題点を2年くらいかけて一つ一つクリアしていく必要があるだろうと思ってみています。
これからも折々、このプロジェクトの状況をお伝えしていきたいと思います。
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