昨年10月に発生したキリマンジャロ山での大規模火災については当ホームページでも触れましたが( こちら)、この火災と同じ日に植林地のある尾根でも火災が発生し、植林されている木にも被害が出ました。
場所はキリマンジャロ東南山麓キルア・ヴンジョー郡にある植林地で、大規模火災があったマラングーからは少し距離があります。したがって両火災の間に直接的な因果関係があるとは思えないのですが、同じ日に出火したというのが気になるところではあります。
村人たちの話によると火災は夜発生し、植林地のある尾根をはるか下方からどんどんと燃え登ってきたということです。植林は尾根の上部から取り掛かっていたため、下の方に植えてあった木々が火災の被害に遭いました。
現場を調べてみると、尾根の表面を覆っていた短いイネ科の雑草を焼き払いながら火が登ってきた様子が窺えました。まだ小さい苗木はひとたまりもなく燃えてしまい、中木は全焼して枯れ、樹高の大きな木だけが幹の周囲が焼けただけで生き残っていました。また、火災鎮火のために切り倒された木も多く、被害木は千本程度になると見積もっています。
今後火災跡地に再植林をする計画ですが、今回のように下から燃え広がってきてしまうと、火災の防止はなかなか難しいと思えました。防火帯を設けても、火の粉が上昇気流と一緒に尾根を登ってきて火をつけてしまいます。そうして離れた場所でも燃え広がってしまった所があちこちに見られました。
一方、木が大きく生長、樹冠が完全に鬱閉している場所では下草が茶色のイネ科の雑草から緑色の下草に変わっており、そうした場所では延焼を食い止めていたことも分かりました。結局のところ尾根を完全に森林に戻さないと、今回のような火災は防げないのかもしれません。尾根全体の植林にはまだまだ何年も、いや十年単位の時間がかかります。
森を失った代償は大きいと、つくづく思っています。