森を失ったキリマンジャロ山の尾根で植林に取り組む村人たち
当会がキリマンジャロ山麓テマ村で実施した森林資源利用実態調査によれば、同村において村上部の森から集められている薪の量は、年間約200t~340tとの結果が出ています。
森林の劣化を招くことなく持続的利用を可能とするためには、この薪に対する需要を安定的に支えられる森(づくり)が必要になります。
植林は薪需要だけを考えて取り組んでいるわけではありませんが、ここでは薪需要に焦点を当て、どの程度の規模の森を想定して植林に取り組む必要があるのかを記してみたいと思います。
植栽する樹種は村人たちにもっとも好まれている多目的樹で、主力植林樹種の一つでもあるGrevillea robusta(ヤマモガシ科)。これを木が成木として十分な大きさになる20年伐期サイクルで、村人たちが持続的に利用可能になることを目指します。
植栽後20年目のGrevilleaの平均樹高を16m、胸高直径を25cmとした場合、幹材積は0.43m3程度と見積もれます。薪としては枝も使えるため、立木1本の総材積量を2割増しとすれば0.52m3ということになります。Grevilleaの材の比重は約0.6であり、このことから最大340t/年の薪需要を賄うためには、約1,090本のGrevilleaが必要となります。さらに20年伐期サイクルなので、合計21,800本の植林が必要であることが分かります。
植林後15年目の植林地
現地では通常ヘクタール当たり1,600本の植栽密度で植林していますが、途中間伐により20年後には約1,300本ほどになります。間伐材も薪として普通に利用可能ですが、ここでは対象外とし、21,800本の成木により構成される森を形成するためには約17ヘクタールの面積が必要となります。
キリマンジャロ山には山に暮らす村人たちが利用を許されてきた生活の森「ハーフマイル・フォレスト・ストリップ」が設定されていました。平均的な森の奥行きが「ハーフマイル(約800m)」であったことがその名の由来となっていますが、この奥行きをそのまま使った場合、横幅約210mで植林すれば17ヘクタールの森になります。薪はその中だけで充足できるようになり、それ以外の場所(たとえば原生林)に圧力がかかることもありません。
残念ながらキリマンジャロ山では、人と自然を隔絶する自然保護政策がとられ、ハーフマイル・フォレスト・ストリップは国立公園に編入されてしまいました。しかし国立公園となっても人々の森林資源に対するニーズが消えるわけではありません。村人たちは森に入り続ける以外に選択肢はなく、人と自然を隔絶するという保護政策は破綻してしまっています。
当会はこのようなキリマンジャロ山の現状に対し、人と自然(森林)が調和していくことのできる森林保全、管理の実現を目指していきます。ぜひ多くのみなさまにこの取り組みに関心を持っていただき、またご支援、ご協力をお願いしたいと思っております。
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