この冬、日本は記録的な寒さとなり、体調を崩され病院を利用された方も多いのではないでしょうか。
そこで、というわけではないのですが、今回はキリマンジャロの村で村人たちが利用している診療所のデータをちょっと見てみたいと思います。
以下の円グラフは、当会も支援していたキリマンジャロ南山麓テマ村(標高1,300m~1,800m)にある、ナティロ診療所で治療を受けた患者の病気分類別の内訳グラフ(1年間)です。同診療所は予算不足で医師がいなくなってしまい、データは医師がいた当時の2010年のものとなっています。
テマ村ナティロ診療所受診者の病気分類(年間)
グラフからは、赤色の感染症系の病気(肺炎、上気道炎、カゼ等)が圧倒的に多いことが分かります。しかしこれは、前年末にカゼが猛威をふるい、その影響が2010年前半も続いていたためで、同年後半の推移状況を見てみると、通常はこの半分程度の占有率だろうと思われます。
そのようにして見てみると、赤色の感染症、緑色の外科的対応の必要となる骨折やケガ等、青色の熱帯病(マラリア、腸チフス等)、ピンク色の呼吸器系の病気(気管支炎、喘息等)の4つの分野の病気がほぼ同じくらいの比率となり、これらで全体のほぼ半分を占めることになります。
ただし注意しないといけないのは、青色の熱帯病を除くと、他の赤、緑、ピンクの病気分類には、いくつかの病気がその中に含まれているのに対し、青色の熱帯病はほぼマラリアで、単独の病気としてはいかにマラリアが村人たちを苦しめているかが分かります(ちなみに診療所の年間利用者数は延べ人数で2,838人。村の人口は4,114人)。
また受診者のうち女性は1,724人で、受診者全体の約6割を占めています。町で働いている比率が女性より高い男性に対し、村の診療所が女性にとってより身近で重要な役割を果たしていることが分かります。
一方、診療所のデータで村で起きている病気の状況を正確に把握できるかといえば、そうではありません。貧しい村人は村の診療所でさえ利用できませんし、逆に診療所では対応できないような重篤な病気の場合、町の病院に運ぶしかなく、従ってそうした病気のデータは表れないことになります。また、エイズなど他者に知られたくないような病気の場合も、診療所を利用しないといったことが起こります。
村全体の状況を把握するためには、診療所のデータからだけでは見えてこないこうした隠れたデータを拾うために、広く社会調査を行う必要があります。
それから私たちも軽い症状やちょっとした風邪くらいなら、家にある常備薬を使ってまず様子を見るというのが普通だと思います。これがキリマンジャロの村になると、森から薬草を採ってくる、ハチミツを飲む(もしくは塗る)になります。もっとも薬草はいまや国立公園となった森からモノを持ち出すことは許されず、村人たちは常備薬を奪われた状態に置かれています。
珍しいところでは、町のマサイの薬売りから薬を買うでしょうか。いまでも町の目抜き通りを歩いていると、道ばたで怪しげな(失礼!)小瓶を並べたマサイの薬売りを普通に見ることが出来ます。
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