困難に直面するコーヒー生産者グループ支援

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KIWAKABOのリーダー達とのミーティングの模様

KIWAKABOのリーダー達とのミーティングの模様 

 

当会は、キリマンジャロコーヒー生産の立て直しを通した村の経済基盤の強化、またそれによる村人の生計向上を目指しています。そのためにコーヒー生産者グループ”KIWAKABO”(Kikundi cha Wakulima wa Kahawa Bora)に対し、新品種の普及、コーヒー買い付けのための回転資金貸し付けを行ってきました。

しかしいま、この貸し付けがつまづいています。世界市場の動向によって価格が大きく振られるコーヒーは、村人たちが自分のコーヒーをどこかに渡した段階ですぐにその対価のすべてを受け取れるわけではありません。最終的にそのコーヒーが商社等の業者によって買われ(一般的には競売所での競りの形態)売価が確定してからでないと、予測で先払いをしてしまった場合、売価が低かった場合のリスクを回避できないためです。

そこで、栽培したコーヒーを農家から集めるコーヒー組合等では、コーヒーを受け取った際にまず一時金を支払い、最終的な売価が確定した段階で,二次払いとして残りの額を支払うようにしています。

ところがKIWAKABOには最初の一時金を支払うための資金がなく、お金がすぐに欲しいコーヒー農家は、KIWAKABOのメンバーですら栽培したコーヒーを競合相手であるコーヒー組合に売ってしまう事態が発生していました。

そこで貸付金は、この一時金が支払えるようにするためにしたものです。貸付金ですから当然利息を付けて返す必要がありますが、銀行等で調達する資金(利息20%程度)に比べ、はるかに低利での貸付条件(同5%)としており、コーヒー販売後に利益を差し引いた上で返すことが十分可能な設定としていました。

問題となったのは、KIWAKABO側がこの資金を、コーヒー受け取り時の一時払い以外の、自分たちの活動にもあててしまったことです。当然一時払い資金がショートすることになり、予定量のコーヒーを集められない事態に陥りました。予定量が集まらなければ販売量も確保できず、従って売り上げからは貸付金の一部しか返済することが出来なくなります。

貸付金は決して一括で渡していたわけではなく、KIWAKABOからの支払申告に基づいて逐次支払う形にしていました。ところがこの申告自体が、各農家からの事前の持ち込み予測により発行されていたことが分かりました。当然、実際の持ち込み量との差異が生じた上、農家の多くが、実際の持ち込み量より多めに申告していたことから、貸付金が余ることになりました。KIWAKABOはこの余った貸付金を、組織運営費に充ててしまったのです。

当会では、KIWAKABOが短期間のうちにこの貸付金を返すことは無理だと考えています。悩ましいのは、貸付金を返すためにも、KIWAKABOには一時金支払いのための貸し付けを継続する必要があるということです。メンバーからコーヒーを集められなければ、その販売益から貸付金を返済することは出来ません。もちろん、無条件に貸し付けの継続は出来ず、運営費に貸付金を回すという誤った判断をしたKIWAKABO側の責任は問われなければなりません。

このため、KIWAKABOに対しては総会を開催し、この問題をメンバー全員に明らかにした上で、組織として今後こうした問題が発生しないよう資金管理や組織体質をどう改めていくかを話し合うよう指示しました。その後メンバーとの話し合いはされたものの、問題解決に向けた結論は今も出ていません。多くのメンバーにとって資金の指定使途外運用は知らなかったことで、その返済のためには、今後発生する販売益からより多くの部分を返済に回す必要が出てきます。それは自身の本来の取り分が減ることを意味しますから、容易にまとまる話ではありません。

KIWAKABOが自身の手で結論を出せるよう、もう少し時間をかけて様子を見守るつもりでいますが、もし厳しそうであれば、当会から販売益を確保しつつ、数年程度の長い期間をかけて徐々に返済していくプランを示すつもりでいます。

コーヒーを取り巻く厳しい環境の中で、それでもその栽培に誇りを持ち、良質のコーヒー栽培により収入を向上させていこうと頑張っている多くの栽培農家の人たちが、これなら大丈夫という希望を持って栽培に取り組んでいけるようにしなくてはならないと考えています。

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