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「風が吹けば桶屋が儲かる」。蒸し暑い日本の今の季節にどうなんだという話題ではありますが、いま泊まっているタンザニアの宿(教会系のホステル)で見かけた“ある物”に、ふとそんなことを思ったもので綴ってみたいと思います。
火事と喧嘩は江戸の花の言葉通り、火事の多かった江戸の町では、防火のために町々の境界に水桶の設置が義務づけられていたそうです。なにせ天下の大江戸八百八町ですから、設置された水桶の数も数万に及んだと言います。「風が吹けば桶屋が儲かる」もなるほどうなずける話しです。
所変わってタンザニアのホステル。深紅に浮き上がる“Fire”の白文字も鮮やかなバケツに満たされていたのは・・・水ならぬ「砂」。“Fire”の文字がなければ、きっと私たちには灰皿にしか見えないでしょう。
国土の大半が半乾燥サバナ気候に属するタンザニアでは、水は貴重です。他に比べて降雨に恵まれているキリマンジャロ山でさえ、一歩山を離れれば途端に降雨量は激減します。このホステルがある山麓の町モシも例外ではありません(年間降雨量は東京の半分ほど)。
火事への備えでも貴重な水を置いておくことなど出来ません。また仮に置いておいたとしても、すぐに蒸発してなくなってしまいますから、ますますもったいなくて出来たものではありません。そこで登場するのが防火用水ならぬ防火用「砂」。これなら蒸発してしまう心配もなく、365日いつでも出動可能です。保管もバケツなどにお金をかけなくても、ボロ袋などで十分に代用がききます。
所変われば品変わる。タンザニアでは風は吹いても桶屋は儲からないというお話でした。