当会で普及している改良カマドは、鍋掛口と焚き口だけはレンガ(14個)を使っていますが、基本的に普通の石と土(牛糞などを混ぜたもの)でできています(写真1)。これは村人たちが現場で入手可能な資材だけでカマドを設置できるようにするためです。通常普及されているこの手の改良カマドは、基本構造材にはすべてレンガ(80個)を使用し、周りを粘土質の土もしくは蟻塚の土などで覆いますが、当会の活動地であるキリマンジャロ山ではレンガはおろか、粘土質の土や蟻塚の土も地域での調達は極めて困難です。
写真1: 現地で調達が可能な資材で作られている改良カマド
そのため先のような、普通の石、普通の土でも作れるように改良に改良を重ねてきました。ただそれゆえに半年毎のメンテナンスが非常に重要となってきます。この手の改良カマドは使っているうちに必ず少しずつ周りの土が剥落してきます。したがってメンテナンスでは、土を使ってその補修をします。これをせずにそのまま放っておくと、鍋の安定性が失われ危険になってくるだけでなく、いずれそのカマドは使えなくなってしまいます(写真2=補修前、写真3=補修後)。
改良カマドを一度使い始めたママたちは「薪は少なくて済むし調理時間は短いし、とにかく便利!」と絶賛ですが、いかんせんメンテナンスが苦手です。そこには「そういう仕事は男の仕事」と考える文化的な背景もあります。そうした場合、旦那さんに頼めばまだタダでやってくれるのですが、職人に頼むママも多く、当然タダではやってくれません。
当会ではこれまでセメントプラスタリングタイプカマドの設置→カマド自体の改良(地元資材のみで出来るカマドの作成)→TEACA技術者による各村へのカマド普及→各村でのカマド職人の養成、とステップを踏んで改良カマドの普及を図ってきましたが、今後はメンテナンスに力を入れて行く必要があると考えています。その場合、その場で実際にママに「やって貰う」ことが大事だと考えています。ただレクチャーするだけではダメだろうということです。文化的背景があるといっても決してタブーなのではなく、実際にやってみることでの「きっかけ」作りが大事だと考えています。