今回は、村役場訪問とカルタの2小学校への持ち込みについてご報告させていただきます。
1. 村役場訪問
2013年2月の渡航は「森を守ろうという気持ちや意思が大切であり、それを支えていこう」というRafiki Projectの目的・理念を共有し、実質的に日本人が主体となってしまっている活動を、村人とともに行う活動にする第一歩とすることを目的としていました。
前回お伝えした座談会はそのために組んだものでした。その2日の日程の内、村長、助役、各村区長の参加が、どうしても外せない会合が入ったために1日のみの参加となってしまったことを報告させていただきました。彼らは、村に様々な活動を広げていく際に重要な人物であることは間違いなく、仕方がなかったこととはいえ、かなりの懸案として残ってしまっています。
ただ、その中で幸いであったのは村役場を訪ねる日程を別に確保しており、その中で我々の活動の理念や目的についてある程度説明をする機会があったことです。2012年8月に森林利用調査を行った際に助役さんから助言と協力を頂いており、訪問の目的自体はその結果報告とお礼であり、Rafiki Projectの目的・理念を説明することとは別個に設定した日程ではありました。森林利用調査は、森からの恵みを数値で換算することで森に対する新たな視点を得られるのではないかと実施したものなのですが、「これだけの数値を得られているのは今までの植林活動の成果の1つである」という流れでその結果を表すポスターを作成しました。これは、現在様々な困難な状況にあり、また、結果・成果が見えにくい植林活動を行う村人達の「森を守りたいという気持ち」を支えることに繋がるのではと考えて作成しました。また、ポスターとは別に、実際にテマ村周辺の森がキリマンジャロの他の地域に比べて守られていることを表す衛星写真のデータを持込み、それは「森を守ろうとする気持ちが強かったからではないか」という説明を行いました。これらの資料とその説明は「森を守ろうという気持ちや意思が大切である」というRafiki Projectの理念の部分を表しているものであります。
下が実際に説明を行っているシーンの写真なのですが、右手前が助役さん、右奥が村長さん、真ん中奥と左手前の女性が村の評議員の2名となっております。森林利用調査のポスターとテマ村の植林成果を表すために持ち込んだ衛星写真の資料もともに「村の人を勇気づけられる」「テマ村の行ってきた成果を外にも示せる」と好評でありました。また、今回は森林利用調査の結果報告と言うことでポスターのみ村役場に寄贈したのですが、衛星写真の資料も是非ほしいとのことを助役さんから言われ、また評議員の女性からは「このポスターを各村区に是非ほしい」とのことで、それを実際に使って村の人の気持ちを高められると感じていただけたようです。Rafiki Projectの理念を伝えるのとは別個に設定した日程ではありましたが、一定程度その理念が伝わり、それに共感していただいたと考えております。
村役場訪問
2. カルタ持ち込み
次に、小学校へのカルタの持ち込みをご報告させていただきます。
Rafiki Projectは「森の中や森に関連する自慢を探し、それを知ってもらうこと」が森を守る気持ちに繋がる1つの手法であると考えております。その中で、次世代を担うであろう小学生にその自慢を引き継ぐために作成してきたのがこのカルタになります。カルタは森の自慢を集め、それを遊びながら覚えてもらうことを目的としております。このカルタはテマ村のOlimo小学校に今回の渡航の前にすでに持ち込まれプレイされていますが、近隣のFumvufu及びFoyeni小学校の2校にカルタを普及させ、さらには、これら3校を合わせてカルタ大会なるものを開催し、村全体でこうした子ども達に自慢を伝える活動が盛り上がるのではないかと考えています。そのために、2小学校を訪問し、カルタをプレイしてもらった上で寄贈してきました。
実際のプレイでは、両小学校ともに盛り上がり、これであれば遊びながら森に関わる自慢を覚えてもらえるという手応えを得られました。一方、カルタ大会を開催するにあたっては、「おてつき」などの複雑なルールが伝えきれず、また、誰が一番先に触ったのかの判定も難しく、離れた小学校同士を集めてカルタ大会をするには、まだまだルール整備や伝達が必要であるようです。また、先生方に授業の時間を縫ってミーティングに参加してもらったため、Rafiki Projectの理念が伝えきれず、このままカルタ大会を開催しても、運営側である学校の認識が、「単に日本から面白い遊びが持ち込まれた」という状態での実施となってしまい、村全体に与えるインパクトが小さくなってしまうことが懸念される状態となってしまいました。そのため、早ければ今夏に実施できると考えていたカルタ大会は、これらの問題をクリアしてからの実施とすることにしました。
ただ、カウンターパートであるTEACAリーダーの1人が校長を務める、ある種「身内」のOlimo小学校以外にカルタ渡ったことで、カルタそのものだけでどれだけ「自慢」を子どもたちに伝えられるものかがわかると思います。今後、再度両小学校を訪問し、生徒や先生方からその感想を聞きたいと考えております。
カルタで遊ぶ子どもたち