Rafikiプロジェクト:「村の自慢」投票とワークショップについて('12/12-1)

  1. TOP
  2. 投稿
  3. Rafikiプロジェクト:「村の自慢」投票とワークショップについて('12/12-1)
海外活動その他

前回の森林調査の回(’12/10-2)において問題を出させていただきました。まずは、その答えから書かせていただきます。テマ村ではどれだけの重量森林から持ち出しているかについてですが、調査結果で捕捉した数値によると、月に約146tを森から持ち出しています。利用人数はのべ5,236人で、利用世帯数を約400と考えるならば、1世帯あたり約365kgを持ち出し、1世帯当たり月に約13回は、森を利用していることになっています。(貨幣価値でも算出を行っていますが、説明及び算出方法が複雑なため、こちらは割愛させていただきます)。前回の記事を見ていただいた方、予想された数字と比べてどうでしたか。次回の渡航でこれを多くの人の前で発表した時に、どのような反応が村人から返ってくるのかが楽しみです。もちろん、こちらでもご報告させていただければと思っています。

(補足:前回書いたようにいくつかのトラブルなどのためこの調査結果は現実より少ない数字になっていると予想され、また、世帯数も森林に接する主な2村区の世帯を単純に足したもので、その内比較的下部の居住者は毎日利用するには少し遠い距離に住んでいます。毎日利用できる人とそうでない人の割合はわかりませんが、世帯数は多めに見積もっていると考えています。)

 

投票結果のポスターを飲み屋に掲示させてもらっている(教会投票自体は、礼拝という厳粛な場所のため、写真は撮れませんでした)

投票結果のポスターを飲み屋に掲示させてもらっている(教会投票自体は、礼拝という厳粛な場所のため、写真は撮れませんでした)

 

さて、今回は、渡航報告の概要(’12/9)にて挙げた目的のうち、「より多くの村人から一般的な意見を得よう」「村人自身に何か決定してもらおう」の2目的に関わるイベントをご報告させていただきます。

まず、「より多くの村人から一般的な意見を得よう」という目的のために行った教会投票についてご報告させていただきます。これまでの活動では、森に詳しい老人層や伝統料理・伝統薬を研究している女性グループであるFARAJA、また、カウンターパートのTEACAといった人びとから、「村の自慢」の情報を収集してきました。彼らの情報は、村やチャガの人びとの伝統を踏まえた貴重なものであります。一方、「我々のピックアップした自慢は、詳しい人のみが知っている自慢に偏っており、村人が一般的に思う自慢が抜け落ちているのではないか」というような懸念を持ち続けていました。

この目的のために、村人が多く集まる教会での日曜礼拝を利用し「投票」を行いました。具体的には、我々が集めた自慢をリストにして、それに1人持ち票3票で投票してもらい、またそのリストにない自慢が思いつくならば、紙に書いて提出してもらうという形式をとりました。実施前は、キハンバ、伝統水路、伝統溜め池がTOP3に間違いなく入るだろうと想定していましたが(伝統溜め池は水路に接続され、水を溜めておく)、その3つにどの程度票が集中するのか、TOP3以下は何が入ってくるのかは予想ができず、渡航メンバーの間でも予想が分かれていました。結果としてTOP3は4位の2倍程度の票を獲得すると同時に、4位以下のTOP10には、農業や薬ハーブなどに有用な植物が中心に並び、その他氏族やチャガの人びとの崇拝する木などがランクインする結果となりました。リストに載っていない自慢としては、泉や滝など、存在は知っていたもののピックアップしていなかったものがいくつか挙がりました。これも含め今後の調査の参考にしていくつもりです。

これらの結果に関しては、投票の翌週の礼拝時に教会にて報告をし、また、投票結果をまとめた手書きのポスターを3枚作成し、TEACA事務所、教会、村の飲み屋に貼り出すようお願いしてきました。教会の報告時の反応やポスターの掲示をお願いした際の飲み屋マスターの反応などを見る限りは、興味を持って聞いていただけたと思います。2012年11月現在、ポスターは教会に貼られており、多くの村人が閲覧できる状態となっております。次回渡航した際に、その感想などが聞ければと考えています。

 

ワークショップの様子ワークショップの様子

ワークショップの様子ワークショップの様子

 

さて、この教会投票のように多人数に参加してもらう形式ですと、多くの人の「人気度合い」などは把握できる一方で、なぜそう思うかの理由など、より深い部分を知ることはできません。また、現在のRafiki Projectの課題として、まだまだ「日本人主体の活動」から脱し切れていない点が挙げられていました。こうしたことから、自慢の理由などを考え、議論し、掘り下げる中で、「村人自身に何か決定してもらおう」という目的を持って、ワークショップを開催することとなりました。内容は、「テマ村の森に関わる3大自慢」を決定してもらい、その決定を基に、最後にエンブレムを我々が作ってくるということを提案するつもりでした(ワークショップ1日では参加人数と時間が限定されているため、当日はその候補を決めるに留め、それを基に後日、村区会議にかけてもらうという形式を考えていました)。(ワークショップの形式はかなり特殊な形をとったため、長くなるので割愛させていただきます)。このワークショップなのですが、結果から言うならば、うまくいかなかったというのが実際のところです。原因は、ワークショップ参加者に「自慢とは何か」というものがうまく伝わらず、薪や水といった「生活に必要なもの」が多く挙げられ、議論を一回中断したことで、時間が足りなくなってしまったためです。暫定的な結論には達したのですが、これを村区会議にかける土台ができたとは言い難く、「ワークショップでなくとも、みんなで議論した上で3大自慢を決めてくれたら、エンブレムなどを作成します」という約束をするのみで、具体的にいつまでに作るかといった具体的な日程は議論をせずに終わった状態となってしまいました。

 

ワークショップの様子(ともに、自分の挙げた「自慢」の理由を話している)

ワークショップの様子(ともに、自分の挙げた「自慢」の理由を話している)

 

ワークショップ自体は、このように明確な進展を得ることはできなかったのですが、「自慢とは何か」を考え、議論し、なぜそれが重要なのかといったことを議論できたこと自体は、1つの収穫であり、また、「自慢」とした際に多くの人が思う自慢とともに、少数派の自慢、若しくは思い付きにくい自慢も挙がり、それについても議論を行えたことも1つの収穫であったと思います。

「村の3大自慢を決めよう」という種類の仕掛け自体は、今後も進めて参りますが、ワークショップというやり方を考えていく必要がありそうです。また、ワークショップに限らず、TEACAの事務所に村人に集まってもらい、正式な形で何か会合を持つ、となると参加者もどこか「かしこまって」参加してしまうという問題もあり、まずはもっとフランクな形で意見を交換する場所を作ってもいいのではないかと言う意見も出されています。

次回は、このワークショップの反省も踏まえた渡航全体のまとめを報告させていただきます。

一覧へ