キリマンジャロ山の国立公園拡張問題、あらたな局面へ

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海外活動森林保全

今年に入ってから、キリマンジャロ山の森林保護区に設定されていた緩衝帯の森”ハーフマイル・フォレスト・ストリップ”(以下HMFS)を巡って状況が激しく動いている。

当会は現地カウンターパートであるTEACA(Tanzania Environmental Action Association)とともに、キリマンジャロ山の森林とそこに暮らす住民たちの生活の双方を守るためには、様々な機関が提唱し、また国が実行に移した国立公園の森林保護区およびHMFSへの拡大適用という方法によっては実現不可能であるとして、少なくともHMFSからは国立公園を外すよう、政府に対して求めてきた。

ところが今年2月、キリマンジャロ国立公園を管轄するKINAPA(キリマンジャロ国立公園公社)が、新任の州知事を取り込み、今年12月をもって、HMFSを完全に管掌下に置くとの宣言を、キリマンジャロ山麓の森林に沿って存在するすべての村を集めた緊急会議において出した。

これに対して私たちは、KINAPAの所轄官庁である天然資源観光省から国立公園内における地域主導による植林の承認を取り付け、また州知事への説得(森林は地域住民の排除によって守られることはなく、地域主体による森林保全・管理の実現によって守られる)を続けていた。

また、TEACAが副首相府がタンザニア全土で実施した環境活動評価において、環境NGOとしては同国で最優秀であるとの結果を受けたことなども伏線となり、州知事が徐々にTEACAの説得に耳を傾けるようになってきた。

そしてここにきて、国立公園を巡る動きが急転直下の激変をみせている。TEACAは州知事に対し、地域住民による森林管理が実現している現場を視察することを強く説いていたが、知事はネパールにおけるその事例視察を実施した後、HMFSを地域住民の手に戻すと発表したのである。

しかし国立公園が外れたわけでは決してない。では、地域住民の手に戻すとは、一体何を意味するのか?そしてどのように管理しようとしているのか?事態の急激な展開に加え、情報も混沌としており、知事の発表が事実として動くのかも含めて、まだ不明なことが多すぎる。

本日からの現地渡航調査によって、今後キリマンジャロ山の森林管理がどのような方向に進むのか、その見極めをしてくるつもりである。というより、地域による森林の主体的管理とその保全に向けて、しっかりした道筋をつけてこなければならないだろう。

キリマンジャロ山の森を巡る激動は、まだ暫く続きそうである。

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