国立公園に取り込まれてしまった、かつて住民利用が許されていたキリマンジャロ山の緩衝帯の森”ハーフマイル・フォレスト・ストリップ”(以下、HMFSと表記)。そこに広がる裸地での、地域住民主導による第2回目となる大規模植林が、昨年度に引き続き、この大雨期に実施された。
このHMFS植林には、大きく2つの目的がある。一つ目は、HMFSにおける地域主導による植林という「事実」自体を積み上げていくこと。これは、同エリアでの植林を、タンザニアの森林を管轄する中央省である天然資源観光省が許可したにもかかわらず、これに抵抗するKINAPA(キリマンジャロ国立公園公社)に対して、それが動かせぬ事実として示していくことである。
二つ目は、この植林の実績を広く内外に示し、地域による森林保全・管理能力の高さを実証、認識させていくことである。もちろん、第2回目となる今回は、HMFSにおける地域主導植林の定着という狙いもある。
今回植林が実施されたのは、昨年も実施したキリマンジャロ山南山麓にあるルワ村および同東山麓にあるロレ・マレラ村、さらに新たに東南山麓にあるムシリ村の上部に広がるHMFSが加わった。もっともムシリ村における植林は、州が中心となった植林キャンペーンの一環で取り組まれたものだが、その準備手配やさらに苗木は全数をTEACAが供給した。植林において行政は旗を振ることは出来ても、その実行面ではほとんど何もすることが出来ないことを、同村での植林は如実に示したと言って良いだろう。
ルワ村、ロレ・マレラ村での植林実績データはまだあがってきていないが、ムシリ村で取り組まれた植林には3つの村から350人の村人が参加し、また州知事、キリマンジャロ州下のすべての県知事と主立った行政執行官、さらにKINAPAも参加した。植林樹種は8樹種(うち6樹種が原産種)、計2,600本が植林された。
今大雨期の植林総数は、全部で1万2千本に達する見込みである。今後もこうしたHMFSでの植林を着実に実施し、先に触れた2つの目標を確実に実現させていくつもりである。
写真1: ムシリ村の上部に広がる裸地化したHMFS
写真2: 植林地に向かう村人たち
写真3: 植林に集まった村人たち
写真4: 苗木を植えるキリマンジャロ州知事(写真中央白シャツの人)