今後問われる協力のあり方

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海外活動森林保全

つい先日、タンザニア(キリマンジャロ山麓)のローカルNGOからメールが届いた。内容は植林活動のために約50万円の資金支援をして欲しいというものであった。

こうした要請が現地から届くことは、けっして珍しいことではない。今回メールを送ってきた団体は、これまで何回か調査で訪れている団体であったが、どうやって調べたか、初めて名前を聞くような団体から、突然多額の支援要請が入ることもある。要請のメールや手紙には、(当たり前のことではあるけれど)当該団体の説明としてかなり立派なことが書いてあるが、実際に現場を訪れてみると、実態とはかけ離れているというケースが殆どである。

もっとも、どんな機会も逃さないという姿勢は大事だし、東アフリカでは一般的に「ダメもと」精神も旺盛である。支援獲得のためには、多少(?)身の丈と合わない、背伸びした文書を書いてきたとしても、不思議なことではない。逆に、実態とかけ離れていることだけをとらえて判断材料としてしまうことは、現地にある本当のニーズを見逃したり、これから育つ可能性を切り捨ててしまうことにも繋がりかねない。

今回支援要請をしてきた団体はこれまでの調査でも、地道に植林活動を積み重ねてきていることが分かっている。村に展示プロットを確保して、地域住民へのアグロフォレストリーの実践的啓蒙に努めたり、コーヒー栽培などでも先取的取り組みを行っている。ただ組織の運営実態や財政状況、村や地域住民との連携、協力度合いなど、まだ詳細が把握できている訳ではない。多くの現地団体を見てきた中でも、実質を伴う、比較的しっかりした活動に取り組んでいる団体ではあるが、それだけで支援の要請にはとても応えられない。

一方で、タンザニア・ポレポレクラブが現在もっとも重要な課題として取り組んでいる、キリマンジャロ山における国立公園領域の拡大問題(※)解決のためには、広大な森林帯に沿って存在する村々やローカルNGOを繋ぎ、地域が一体となって立ち向かっていけるようにしなければならない。それは異なる認識や意識のレベル、実力を持った多くの村々、NGOを如何に横に繋いでいくことが出来るか、ということを意味している。

資金の支援は、ともに活動に取り組んでいこうとする協力相手の活動を支え、或いはその自立を図っていくためにも必要かつ重要な要素ではあるが、いま、そしてこれから私たちが一層問われるのは、”資金の要らない”「地域連携」という目標に向けて、如何に村々、NGO、そして地域の人々の意識をまとめ、持続的で自律的な行動に繋げていけるか、いけるのかということである。

資金の支援を要請するメールを受け取り、そのことへの自覚をあらたにした。

 

地域連携の実現に向けた村同士の話し合いの様子

地域連携の実現に向けた村同士の話し合いの様子

 

※ 生活のための、最小限度の森林資源利用を可能としていた「緩衝帯」を国立公園化し、地域住民の追い出しを図った

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