事務局日誌: 戻ってきた動物と食害

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低地養蜂事業地でみかけたクロシロコロブス。乱獲で激減してしまい、低地で見るのは珍しい。

低地養蜂事業地でみかけたクロシロコロブス。乱獲で激減してしまい、低地で見るのは珍しい。

 

タンザニアでの現地調査を終え、9月5日に戻ってきました。現地(キリマンジャロ山麓)はことのほか寒く、高地にある養蜂事業地では、蜂が寒さに耐えきれず、次々を逃げ出す事態となっていました。

8月も下旬になると、この寒さもかなり和らいだのですが、それでも朝晩は吐く息が真っ白になります。ですから水浴び(ぬるま湯)は大変!日本のように水が豊富でない現地では、湯船など当然ありません。薪もたくさんは使えませんから、バケツに半分ほどのぬるま湯で済ますことになります。しかしこれが寒くて、半端ではありません。裸になる段階でまず覚悟がいります。さらに水を浴びる段階でもう一度覚悟を決め、あとはもうどうにでもなれとばかりに水浴びをします。

村人は水浴びすると体が温まるというのですが、「ほんまかいな・・・」と、未だに半信半疑です。子どもなどは水浴び後、全身鳥肌たててブルブル震えていますから、やっぱり寒いのではないかと・・・。

さて、植林地の状況ですが、主力活動地であるテマ村(キリマンジャロ山の標高約1,600m)では、村人たちの20年間におよぶ植林の努力によって、あちこちに広がっていた裸地にも緑が蘇りつつあります。植林も苗木を植えることだけをイメージしがちですが、じつは苗木は植えればそれで育ってくれるわけではありません。植えた後も3年~5年は、苗木の周りに生えてくる雑草やブッシュの刈り払いを続けないと、苗木はそれらに負けてしまい枯れてしまいます。枯れてしまった場所には、何年でも続けて捕植を繰り返します。

苗木が草丈を超えて育ってくると、今度は枝打ち、さらに大きくなると間伐も必要になります。同じ植林地で何年間も地道な取り組みを続けて、はじめて森は蘇ってくれます。

テマ村でもようやく活動初期に植えた植林地の木が大きく育ち、森らしくなってきました。それとともに、姿を消していた動物たちが戻り始めています。主にディクディクと呼ばれる小型のレイヨウ類です。動物たちにとっても棲みやすい環境が取り戻されつつあることは、これまでの取り組みの成果として、とても喜ばしいことなのですが、一方でこれら動物による苗木の食害が目立ち始めています。

すでに大きく育った木は問題ないのですが、小さい苗木はすっかり食われてしまうので困りものです。それでも村の人たちは、「これもオレたちの植林の成果だよ」と静観の構えでいます。共存共栄、自然とそんな受け止め方ができる彼らに、「人間できているなぁ」と感心するやら、「それとも、ただ呑気なだけ??」と思ったり。

木を1本育てるだけでも、彼らの苦労は大変なものです。それを知っているだけに、苗木が食害を受けていることに、私などはやきもきしてしまいます。しかしいまは彼らの受け止め方を尊重して、一緒に推移を見守るつもりでいます。数年経過を見守り、被害が軽度でおさまるのであれば、食害もやむなし、被害が広がるようであれば、何らかの対策を講じなければならないでしょう。

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