事務局日誌: 変わるもの、変わらぬもの

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アフリカというと、世界の変化から取り残された周縁の地というイメージがある。しかしどうしてどうして意外なほど変化の波は早いものがある。

広大なアフリカを一般化してはいけないと思うが、都市はもちろんのこと、中小規模の町レベルでも確実にその変化を感ずる。

私が滞在していたキリマンジャロ山麓のモシの町でも、目抜き通りにはいつの間にやら小綺麗な店が増え、おまけにやけにスマートになったと思ったら、露天の物売りが通りから一掃されていた。モシの町の象徴であったクロックタワー(長年にわたって動いていないが故に「象徴」であった)は、今では正確に時を刻んでいる。これだけでも十分に驚きに値する。

しじゅうこの地を訪れる私の目にも、訪れるたびに押し寄せている変化の波を感じずにはいられない。もっともこの変化の波は、村落部まではなかなか届かないのであるが。従って都市と村落との格差はますます広がる傾向にある。

いずれにしても、タンザニアの経済が堅調に推移していることは間違いない。ここ数年の経済成長率は常に5%以上を維持していることからも、そのことは伺える。経済を含む種々の政策制度面でも、援助国を協調しながら積極的に取り組んできたことの成果でもあるだろう。

しかしその成果の礎をなしているものは何であろうか?それはひとえに「平和」の成せる技である。多くのアフリカ(アフリカだけに限らないが)、民族、宗教等様々な要因により、解決の糸口すら見えない紛争の泥沼の中であえいでいる。タンザニアとて130余の民族を抱え、イスラム教、キリスト教、伝統宗教が同じように肩を並べる多民族、多宗教国家である。

しかし大きな変化のうねりの中にあっても、穏やかで寛容なタンザニアの人々の姿はあまり変わっていないように見える。もちろん都市部にはスレた人たちも出てきたし、村でも若者は少しずつ変わってはきている。それでも、タンザニアの人々の心証を覆すようなものではない。

なぜタンザニアが(タンザニアの人々が)世界の中にあって斯くあるのか、それは私には分からない。世界の多くの人々が願い、世界の多くの国々が努力を払い、それでも実現することの困難な「平和」。多様さの中にあって、しかしその「平和」をさらりと維持しているこの国(の人々)の持つ不思議のメカニズムとはいったい何なのだろう?

タンザニアとは世界の多くの国々が成そうとして成せずにいることを、平然と成し遂げている一流の「先進国」なのかもしれない。

「変わるもの、変わらないもの」、「平和の尊さ」、「先進国」。 タンザニアに身を置いていると、いつもそんなことを考えさせられてしまう。

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