東アフリカを訪ねたことのある方なら、バスなどでの移動中、サバンナにまばらに生えるアカシアの木などに、丸太のようなものがぶら下げられているのをご覧になったことがあると思う。あれは何だろう、と不思議に思われた方もおられるのではないでしょうか?
あの丸太は、ハチを飼うための現地の伝統的な養蜂箱(養蜂丸太?)なのです。中は空洞に掘り抜いてあって、両側に木製の蓋がしてあります。片方の蓋の下側に小さな穴が空けてあり、そこからハチが出入りします。
低地のサバンナ地帯では、飼っている蜂はたいがい、いわゆるミツバチです。ミツバチといっても、私たちになじみの深い、大人しい西洋ミツバチではなく、ちょっと気性の荒いアフリカミツバチ(素人目には区別が付きません)です。
キリマンジャロ山の中の村のように標高が高くなると、ミツバチを飼っている人もいますが、同じ養蜂箱を使って、蠅のように小さい、針のない“ハリナシバチ”を飼っています。標高が高い所は気温が低く、ミツバチで安定的な収量を得るのが難しいためです。
私たちも現地のカウンターパートであるTEACAと協力して、タンザニアの低地、高地の両方で養蜂事業に取り組んでいますが、前者はミツバチ、後者はミツバチとハリナシバチの両方で取り組んでいます。
しかし現在高地のプロジェクト地では、徐々にミツバチからハリナシバチへ比重を移しつつあります。理由は先にも触れましたが、ミツバチだと安定的に収量をあげるのが難しいためです。
現在キリマンジャロ山麓では、2つの村でこのハリナシバチによる養蜂に取り組んでいます。設置されている養蜂箱の数は5個ですが、この11月にも新しい養蜂箱を2個追加設置しました。(下写真左側)。
ハリナシバチは体が小さい分、1箱当たりの収量は少ないのですが、毎年確実に収穫が図れるうえ、ハチミツの単価も高いため(普通のミツバチの倍)、今後さらに設置数を増やし、高地における収入向上の要の取り組みとしていく方針です。