事務局日誌: おいしいコーヒーが飲めるのは

  1. TOP
  2. 投稿
  3. 事務局日誌: おいしいコーヒーが飲めるのは
その他

キリマンジャロコーヒーといえば、もちろんタンザニアが本場である。本当においしいものといえばやはり産地、本場でいただくに限る・・・はずなのだが。

私がタンザニアに入り始めたのは1990年代初頭である。その頃はまだ一部の国営ホテルや町中の店でも、正しく抽出された本場のキリマンジャロコーヒーを楽しむことが出来た。しかし年を経る毎にその味は落ち、いまや見る影もない。もちろん近年著しいコーヒー豆の品質低下にも原因があるだろう。しかしそれ以上に、やはりその入れ方(抽出の仕方)に一番の問題があるように思える。などと書くと、私が余程コーヒーにうるさいのだろうと思われてしまうかも知れないが、そうではない。普段はもっぱらインスタントコーヒー派なのだから。そんな私ですらおいしくないと感じてしまうところに問題がある。

キリマンジャロコーヒーはマイルドアラビカに分類される、レギュラーコーヒーである。現地では、日本で一般的なドリップ抽出とは違って、粉に挽いたコーヒー豆を直接お湯から煮出す方法が普通である。これでもドリップ抽出に比べたら味は落ちるかも知れないが、それでも以前は十分おいしかった。しかし最近では、コーヒーの粉の量や水の量、煮出す時間など、もうメチャクチャである。同じ店やホテルで飲んでも、味が一定しない。酷いときには一度煮出したコーヒー豆にさらに水を加えて“抽出”した出涸らしコーヒーまで出てくる有様。ついに来るところまで来たといった感じである。

タンザニア政府は近年観光産業にも大いに力を入れ、観光客の誘致にも余念がない。観光産業は国の経済を支える重要な外貨獲得源であることを、十分認識しているからである。しかしその観光客(多くはサファリ観光客)が楽しみにしているのは、何も動物だけではあるまい。“本場の”キリマンジャロコーヒーを心ゆくまで堪能することを、楽しみにして来る観光客もきっと多いはずである。そうした人たちを失望させてはなるまい。帰国すれば彼ら、彼女たちはお金のかからない動く広告塔として、キリマンジャロコーヒーファンを世界に広める可能性を持っているのだから。

日本でもどこに行っても、産地、ご当地の名産品のアピール、売り込みには一所懸命である。一村一品運動ではないが、それが地域振興の要ともなり得るからである。タンザニア全土とは言わないが、せめて本場キリマンジャロコーヒーのお膝元、モシの町あたりでは、観光振興の一助としても、美味しいコーヒーを飲ませることに、町ぐるみで取り組むくらいの気概を持って欲しいものである。

さて、それでは美味しいキリマンジャロコーヒーを飲もうと思ったら、どこに行けば良いのだろう?答えは「日本」である。いまや日に日に希少性を増しているAA(ダブルエー)と呼ばれるキリマンジャロコーヒーの最高級品質品を一番輸入しているのは、日本である。そして世界の中で最もコーヒーの味にうるさいのも日本人らしい。

ということで、美味しいキリマンジャロコーヒーを飲みたかったら、日本の喫茶店で飲むのが一番、ということになる。少々寂しい話ではあるのだが・・・。

一覧へ