事務局日誌: 「春」

  1. TOP
  2. 投稿
  3. 事務局日誌: 「春」
その他

ここ数日は昼間はポカポカと暖かい日が続いていますが、朝晩はまだまだ冷え込みますね。それでも事務所の近くでは、もう梅の木々が可憐な花を咲かせはじめ、一日一日と近づきつつある春の訪れを感じさせてくれます。

草花に微妙な四季の変化を感じて、ついつい楽しんでしまうのは、やはり日本人だからでしょうか。もともと農耕民族である日本人には、カレンダーより二十四節句に代表されるような、自然や四季の変化が日々の生活の中で大きな意味を持ってきた歴史もあります。

そういえば、以前日本に研修で招聘したタンザニアのカウンターパート・TEACAのリーダーを新緑の美しい日光を案内した時、この“新緑の美しさ”を理解してもらうのにえらく苦労したことを思い出した(今でも分かってもらえたものやら不明(笑))。タンザニアで樹木といえば、ほぼ常緑樹である。一年中緑濃い色の葉が茂っていて、変化に乏しい。新緑を愛でて共に風情に浸ろう、なんて急に言われてもそりゃ分からないだろう。

しかしタンザニアでも、家の周りにちょっとした花卉類を植えて飾っている人は結構多い。ブーゲンビリアなどはその代表格だろう。有刺性のブーゲンビリアは侵入者よけ(ときに牛やヤギだったりもする)にもなるので重宝されている。私たちの支援している小規模苗畑グループのいくつかでも、このブーゲンビリアを販売用に育てている。しかし挿し木で育てるブーゲンビリアの苗木は、シロアリの被害にあいやすいのが悩みの種である。

低地では熱帯らしいブーゲンビリアなどが多いが、キリマンジャロなどの山の上に行くと、私たちに馴染みの深い花卉類も結構植えられている。村の中を歩いていると、ひょっこり紫陽花などが花を咲かせていて、ワークキャンプなどで村を訪れた日本人参加者たちを驚かせている。紫陽花はもともと日本原産であるから、これはヨーロッパで品種改良されたハイランドアジサイが、植民地時代にコーヒーなどと一緒にもたらされたのではないかと思っている。

朝鮮アサガオ(熱帯アジア原産)もよく水辺などで花を咲かせている。この朝鮮アサガオ、有毒なのだが、実がオクラにそっくりなので、うっかり食べてしまったりしたら大変である。幻覚作用があって、中米などでは祈祷師がトランスするのに用いたりするので、昔は村人たちがそんな目的で使っていたこともあるのだろうか。そのうち聞いてみたいことの一つだ。

なんだ外国原産のものばかりじゃないかと思うかも知れない。もともと花で家の周りを飾るということ自体が、外国から持ち込まれた考えだからなのではないかと思うのだが、この辺のところは不勉強でよく分からない。もっとも花ではないが、私たちにも馴染みの深い、先にもちょっと出たオクラや、ヒマシ油の原料となるヒマなどがアフリカ原産であることは案外知られていない。タンザニアでも村人が栽培しているのを時々見かける。

さて、寒いのが苦手な私としては、春の訪れを一日千秋の思いで待ちこがれている。ワークキャンプから帰国すれば、すぐに桜の季節。そしてまた新緑美しい季節がやってくる。

一覧へ