事務局日誌: タンザニアの懐(2)

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調査で村に入っているときは、寝泊まりさせて頂いている村人の家から学校まで歩いていく。今日は10時から打ち合わせ。今朝も変わらぬ7kmの山道を登っていく。大きなバケツを頭に載せ、水を運ぶ子供たち。日本の稲刈り鎌に似た鎌で、牛にやる草を刈る女たち。伐り倒した木から板を切り出す男たち。

 

途中、知った顔に会えば、即“Karibu, Karibu chai”の声がかかる。“Karibu”とは、現地で話されているスワヒリ語で「どうぞ」、“chai”は「お茶」の意味。「ちょっと寄ってお茶でも飲んできなさいよ」というわけだ。そうでなくてもその場で10分は立ち話になる。今日はこれで4回目だ。最初に来た頃は、「こんなことに付き合ってたら、いくら時間があっても足りはしない」と思ったものだ。実際、やらねばならぬ事は山ほどあり、日本を出る前に計画も組んである。もちろん現地では日本のように事はスムーズに運ばないだろうから、日本のペースの3分の1くらいまで抑えた計画を組んでいく。ところが、実際現地で出来るのは、さらにその3分の1。日本のペースの9分の1!仕事が進まなくて焦りまくっているところにきて“Karibu chai”だから、目も三角形になろうというものだ。

 

もちろん今ではそんなことはなくなった。計画は、現地のスピードに合わせようとしない自分に先ず問題がある。そして何より、この“Karibu”の中に、タンザニアの人々の心と垣根のない豊かな人間関係を見る思いがするからだ。

 

タンザニアの魅力。それは壮大なキリマンジャロ山の姿かも知れないし、数多くの野生動物たちかも知れない。しかし最大の魅力は、タンザニアの人々に見る豊かな人間性、人間関係ではないだろうか。そして豊かさの原点とは本来そんなところにあるのではなかろうか。

 

私たちにはタンザニアの懐に学ぶべきことがまだまだあるように思う。

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