事務局日誌: タンザニアの教育事情と村の状況(その1)

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先週土曜日に、タンザニアの教育をテーマとした「タンザニアの教育連続講座」の第1回目を開催した。講師に青年海外協力隊の溶接隊員として、タンザニアの中部イリンガ州イフンダテクニカルスクールに派遣されていた土井春夫氏をお迎えし、現地の教育事情や“異なる国の者同士、どう協力しあうことが出来るのか”といった視点からお話しいただいた。

その中で、「多く民族を抱えながらも、タンザニアが民族間での調和を保っている背景の一つには、中学校の頃から、寄宿舎生活で様々な地域や民族出身の学友たちと共に学ぶという環境があるだろう」とのお話があった。確かにそういう側面もあるのかも知れない。

現地での義務教育は初等教育である小学校までである。その初等教育ですら制度、カリキュラム、教材、環境等どれをとっても満足といえる状況にはない。ましてや中等教育以上ともなればなおさらで、とくに初等教育を終えた子供たちの受け皿となるべき中学校の数は、絶対的に不足している。こうして運良く中学校に進めた子供たちの多くも、遠く親元を離れた所にある学校での寄宿舎生活を余儀なくさる訳だが、そうした状況がタンザニアの平和に一役買っているのだとすれば、少々皮肉な話ではある。

さてそのタンザニアの教育事情であるが、2001年時点における小学校就学児童数は約480万人であった。しかしそれ以外に小学校の就学年齢(7~13歳)にありながら、学校に行っていない未就学児童が約3百万人もいると見積もられている。初等教育の純就学率は56.7%に過ぎず、総就学率でも77.9%である(1999年現在。1981年は98.3%あった)。

そして先にも触れたように、小学校に入ったからといって、その後みんながみんな中学校に進学できるわけではない。途中ドロップアウトすることもなく無事小学校7年(タンザニアの初等教育は7年制)を卒業した子供のうち、中等教育に進む機会に恵まれる子供は僅かに18%(1999年)。残り82%の子供たちには、それ以上教育を受けたくても受ける機会が与えられない。高等教育である大学レベルの進学率に至っては僅か0.24%(同)である。

現地で子供たちに「中学校に行きたいか?」と聞けば、まず間違いなく「行きたい!」との返事が返ってくる。それは本人が実際に勉強が好きであるかどうかより、欲してもそう簡単に得ることの出来ない教育の機会に対する、子供たちの切実な願いであり、思いであるだろう。ときに「中学校に行かせて欲しい」と訴える子供たちの言葉に、切なく胸が詰まることがある。日本では当たり前のように与えられている教育の機会であるが、その有り難さ、大切さを、私たちは噛みしめなければならないだろう。


次回に続く

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