事務局日誌: 日本は不便!?

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タンザニアの多くの貧しい農民たちにとって、自分の畑のために金肥(化学肥料)を買うというのは容易なことではない。しかし土に栄養がなければ、良い収穫は望めない。タンザニアのどの農民にとっても、良質な肥料を十分得ることは、大きな問題だといえる。

これを身近にある雑草や作物残滓などを利用して、堆肥を作れるようにできないものだろうか。そこで最近、ポレポレ菜園で雑草の堆肥化に取り組み始めた。これは雑草を嫌気発酵させることで堆肥化しようというもので、嫌気性菌である乳酸菌、酵母菌、光合成菌を利用する。

もちろんこれらの菌は、現地で簡単に入手できなければ意味がない。ところが、これらは案外簡単に現地でも自家培養しようと思えば出来るのである。たとえば乳酸菌なら、ほとんどの村人が飼育している牛のミルクを使えば良いし、酵母菌なら果物が、光合成菌ならそこらの雑草でも材料になる。

 

ポレポレ菜園の雑草堆肥(写真左側の小山)

ポレポレ菜園の雑草堆肥(写真左側の小山)

 

ところが、である。これらを日本で作ろうとすると、途端に壁にぶつかってしまう。乳酸菌の培養にミルクを使おうと思っても、酪農家でもなければ手に入らない。市販されている牛乳はすべて殺菌処理されているので、使いものにならないのである。果物も現地で手に入るようなものを使おうすると、輸出入の段階で薫蒸、殺菌処理されてしまっている。

培養に必要となる糖分は・・・砂糖が使えない。現地ならサトウキビから作ったそのままの粗糖がいくらでも手に入るが、日本の砂糖は精製されて、必要なミネラル分などが全部取り去られ、甘み成分だけが残された白砂糖である。それどころか、希釈に使う水(=水道水)がそもそも塩素入りである。万全を期そうとすれば、わざわざミネラルウォーターを買ってこなければならない。

それなら雑草はどうだろう?都会でそれなりの量を確保しようとしたら、まず頭に思い浮かぶのは公園だろうか。といっても手入れが行き届いていて、思ったほどはない。しかも犬猫のオシッコでもかかっていたら、それこそ使いものにならない。空き地はどうか?近所の人に怪しまれるのが関の山だ。最近は信じられないような事件が続いている日本である。こんなことで通報されて、警察のお世話になるのはご免願いたい。

なんとも、どうしようもなく日本は不便なのである。

それでもあれこれ知恵を絞り、培養を始めてはいるのだが。

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