4月29日の正午前、タンザニアの実質的な首都であるダルエスサラーム郊外にあるMbagala軍基地で大規模な爆発が発生した。5月2日現在、死者20名、数百人の負傷者が出ており(1,000人を超すとの報道もあり)、今後の捜索によってさらに増えると予測されている。爆発が何によって引き起こされたのか、原因はまだ特定されていない。
Mbagala軍基地はダルエスサラーム中心街から約14kmの郊外にあるが、爆発が起きたのが大量の火薬、砲弾などが備蓄されている兵器庫であったため、15km離れた場所でも、飛んできた砲弾のために死者が出たという。爆発は2時間におよび、ダルエスサラーム市街の高層ビルやビジネスビルなどは、危険回避のために退避勧告が出されたことから、一時市中心部の機能が麻痺する事態となった。
Mbagala基地は郊外にあるとはいえ、住宅地域にあり、爆発による爆風と衝撃、飛散物によって、多くの家屋が倒壊、損壊し、その下敷きになっている犠牲者がかなりいるのではないかと報道されている。火の固まりとなった金属などが雨のように降り注いだと言われており、爆発の凄まじさを物語っている。爆発から逃れようとして、あるいはパニックから川に飛び込んだ住民も多数いるようで、こうした人の多くが、大雨期で折から増水している川にのまれたと見られている。
また家から飛び出し無我夢中で逃げた多くの子どもたちが、親と離散したまま会えずにおり、赤十字がキャンプを開設し保護に乗り出している。
タンザニアでは1998年にアメリカ大使館の爆破テロが発生し、多くの死者を出した。今回の爆発は、嫌が上にもそのことを想起させる。しかし過去にそうした悲惨な事件があったとはいえ、タンザニアには民族紛争も宗教紛争もなく、アフリカにあって希有なほど平和な国であることは揺るぎのない事実である。
爆発が事故であるのか、それとも事件であるのか、一刻も早い真相の究明を望みたい。
爆発に巻き込まれ、亡くなった方に心から哀悼の意を表すとともに、負傷された方々の一刻も早い回復を祈念する。