当会はカウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)とともに、キリマンジャロ山において地域が森林保全・管理の主体となれるよう、そのフレームワーク構築と持続性確保のための運用面での仕組みづくりに取り組んでいる。具体的には、森林に沿って存在する村々が統一的戦略のもと、共同歩調をとって同山の森林保全・管理に取り組んでいけるよう、そのコンセンサス形成を推し進め、また村々の上位に位置する地域横断的な連合体を組織すること、さらに各村において、決定された戦略に基づいて、新たな森林管理規則を定めることである。
これまで地域や村といったレベルは、全体としての統一性の欠如と実行面での不安定さ、不確実さのゆえに、その潜在的可能性と各個における努力にもかかわらず、森林管理を担う主体として、とくに行政サイドから顧みられることは殆どなかった。また各地域や村においても、森林を全体として見るという視点や意識を持つことは、難しかったと言って良いであろう。他方において、キリマンジャロ山の森林は、とくに同山が世界自然遺産として指定されて以来、ますます全体としての「効果的」管理が求められるようになっている。
先にも触れたように、当会では森林保全・管理のためのあらたなフレームワーク構築と仕組みづくりに取り組んでいるが、それと同時並行して、実行面においてキリマンジャロ山における広域的な植林活動をカバーしていくための拠点苗畑の新規立ち上げを進めている。以下の写真は、そうして立ち上げが進められている各地域の苗畑の一部である。立ち上げ初期は育苗能力にも限界があるため、植林にあたってはTEACAの苗畑からも苗木供給を行うが、これらの苗畑の立ち上げにより、キリマンジャロ山の東および南山麓における植林の実施体制が築かれつつある。
地域連合の体制整備は、こうした各地域における取り組みに一体性をもたせ、行政サイドに、森林管理における地域の主体的役割の重要性を強く認識させていくことになるであろう。
写真1: キリマンジャロ山の東山麓にあるLole小学校に立ち上げた苗畑
写真2: 同南山麓にあるモヲ村に立ち上げた苗畑
写真3: 同東南山麓にあるMaua Seminaryに立ち上げた苗畑