地域主導による森林管理を目指してキリマンジャロ山の森林に沿う40村が立ち上げた地域代表組織KIHACONE(Kilimanjaro Half-mile forest strip Conservation Network)ですが、悩みの種は事務所がないことでした。
KIHACONEはキリマンジャロ山の森林保全に関わる組織としては、いまやTEACA(Tanzania Environmental Action Association)と双璧をなす存在となっており、政府からも一目置かれるようになっています。当然政府や国際機関、多くの村からの連絡や問い合わせも多いのですが、いかんせん事務所がなく、電話やインターネットカフェを使ってのメールのやり取り、もしくは直接会うといった方法で対応するしかありませんでした。ミーティングも毎週のように開いているのですが、町で場所を探して肩身の狭い思いをして実施しているのが実情でした。(写真1)
事務所のないKIHACONE、青空会議中
しかしさすがに事務所がないと信用にも関わる状況となってきており、資料の管理も困難となってきたため今回の予算会議で「とにかく事務所を何とかしないと・・・」という話になりました。とはいうものの資金もなく、口では言い出したものの、みんな沈黙するしかありませんでした。そこに助け船を出してくれたのがTEACAでした。「いまTEACAのレンタハウス(写真2)に空きがあるから、そこを使えばいい」と申し出てくれたのです。
TEACAの運営するレンタハウス
レンタハウスはTEACAの自己資金調達源として重要な役割を担っていますが、資金のないKIHACONEに貸し出せば家賃収入は見込めません。それでも事務所のないKIHACONEの窮状を見ての申し出でした。TEACAのリーダーはよく”KIHACONE ni mtoto wa TEACA”(スワヒリ語で「KIHACONEはTEACAの子どもなのだ」)と言っています。一つ一つの村に地域がまとまる必要性を説いてまわり、何年もかけて今のKIHACONEを築き上げてきたのはまさにTEACAです。彼らの言葉に嘘はありません。子どもを見守る親心、そんな気もします。
KIHACONEが喜んだのは言うまでもありません。町から多少離れた場所にあるため頻繁に会議を開くには不便もあると思えますが、資料の散逸も非常に懸念されはじめていただけに、しっかりした事務所を持てることの安心感は何物にも代えられないものがありました。
事務所を持てば持ったで、その運営ノウハウが必要になります。日常の体系的な業務管理や資料、データの保管・整理等、機材や設備といったハード面以上に、そうしたソフト面での指導を最初から徹底していくことが大切となってきます。当会はKIHACONEが事務所を持ったことでこれまで以上に力を発揮していけるよう、事務所運営といったソフト面でも指導に力を尽くしていきたいと思っています。