昨年から今年前半にかけて、タンザニアはひどい降雨不足に悩まされた。この降雨不足によって、現地のプロジェクトも少なからぬ影響を被った。小雨期にはどの苗畑グループもまったく植林が出来ず、自立のための苗木販売専用苗畑であるダルエスサラーム苗畑では、何とか持ちこたえてきたチークの苗木が一気に1万本近く枯れてしまった。過去最高の育苗ペースを維持してきただけに、極めて残念な結果となった。
半乾燥地のプロジェクトでは、ほぼすべての活動が停止に追い込まれた。水がなければ苗木は育てられない。それより何より、生きていくための水を確保しなければならない。5月のニュースレターにも書いたことだが、「大雨期に雨が降らなければ”Njaa(飢え)”が来る」と、村人たちはその到来を固唾を飲んで見守っていた。
その大雨期がやってきた。降るか降らないか心配されたが、幸いなことに、いまのところそこそこ降ってくれている。まさに天の恵みだ。半乾燥地の活動も、この雨で何とか息を吹き返した。現地で取り組んでいる活動の一つに、「野菜省水農法」がある。これは現地で”スクマウィキ”と呼ばれている緑葉野菜を、麻袋等の袋(高さ120cm、口径60cm)を使って集約栽培する方法である。(本文下写真参照)
同農法は、集約栽培でもともと水の必要量が少ない(限られた水を効率的に使える)こと、また水の蒸発散を抑えられることから、十分な水の確保が出来ない半乾燥地で野菜の入手を可能とするための栽培方法である。ところが昨年はあまりに厳しい水不足のため、栽培どころかついに種を蒔くことすら出来なかった。
それがここに来ての雨で、やっと再開の運びとなった。この日は苗床で本葉が出るところまで育てたスクマウィキの苗を、省水農法用の麻袋に植え付けた。順調にいけば2ヶ月弱で毎日野菜を収穫できるようになる。乾燥地で緑葉野菜は何よりありがたい貴重なものだ。このまま順調に推移してくれることを、村人と同じような気持ちで祈っている。
半乾燥地での野菜省水農法。スクマウィキの幼児苗を植え付ける