厳しいハードルを設けた新たな職業訓練校制度により、次々と閉鎖に追い込まれる民間の職業訓練校。そうした中、当会がキリマンジャロ山の村で支援しているTEACAの裁縫教室。生き残りをかけて政府訓練校から離脱し2年目を迎えています。
訓練校からの離脱により、それまで10教科を超えていた授業科目を裁縫、編み物、刺繍(それぞれ講義と実技があります)に絞り込み、コースの期間も2年から1年に短縮、また実質的な学費を食費のみに抑える体制に切り替えました。
もともとこの裁縫教室は、様々な事情で進学をあきらめざるを得なかった少女たちに手を差し伸べることを大きな目的として運営してきました。そうした家庭には困窮家庭が多く、学費が払えないことが進学断念の主要な理由となっていました。寄宿生の場合、政府の訓練校では年間の学費が150万~200万シリング(9万~12万円)かかってしまい、そのような費用をとても工面することができません。それに対してTEACAの裁縫教室では体制をスリム化し、寄宿のための費用も不要とすることで、年間50万シリング(約3万円)まで費用を抑えました。
昨年は新体制に移行してからの広報が新学期の募集時期に間に合わず、生徒 6人(寄宿生4人、通学生2人)をやっと確保できたのみでした。今年は募集タイミングを逃さないよう念入りに準備しました。いざ募集を始めてみると「なんでこんなに安いわけ?」とかえって怪しまれるという予期せぬ反応もあったりして、各地を生徒募集で回った教師が村の指導者たちの理解を得るのに四苦八苦する場面もありました。
そんな苦労もありましたが、おかげさまで今年は昨年から倍増の11人の少女たちが元気に学んでいます(寄宿生8人、通学生3人)。もっともタンザニアでは折からの物価高騰に加え、昨年からの異常降雨のため作物の生育が芳しくなく、各家庭の家計に暗い影を落としているのが実情です。当地の学校制度では、新学期は1月からと決められていますが、作物の収穫時期(6月~8月)からずれていることもあり、安い学費でさえ払えない払えない家も少なくありません。このため収穫を終え、作物を売ったお金が入ってくる時期まで入学を待ってくれないかという要望が多くあります。
今年はもう無理ですが、政府訓練校制度から離脱したことで、入学時期を柔軟に設定することは可能だと考えています。教える教師の負荷は増えてしまいますが、入学時期を1月入学と6月~8月入学の2回に分けて設けることを考えたいと思っています。
募集では怪しまれるといったこともありましたが、教師の技量はピカイチなので、今年学んでいる生徒たちの口コミ(これがなかなかバカにできないのです)で、そうした懸念も少しずつ払しょくされていくと思っています。そして何より、みんな楽しそうに学んでくれています。
新たな体制をどう上手くマネジメントしていくかについては、まだ1、2年かけて改善の手を打っていく必要がありそうですが、やれることには何でも取り組んでいきたいと思っています。
「裁縫教室」に通う少女たちへの支援をぜひお願いいたします!
タンザニア・ポレポレクラブは約20年にわたって裁縫教室の運営を支援し、様々な理由で学校に通えなくなった少女たちの自活を助けしています。これまでの卒業生たちは職業訓練校の教師になったり、町の縫製屋に就職したり、自分で受注生産のビジネスを始めいまでは公務員以上の収入を得るまでになったりと、それぞれ活躍しています。
しかし政府の職業訓練校制度が変わって以来、裁縫教室の運営は非常に厳しいものとなっています。これからもこの裁縫教室が、少しでも多くの苦しい環境に置かれている少女たちに自活の道を開いていけるよう、ぜひみなさまのご支援をお願いいたします。
1人の少女が1年間学ぶのに必要な費用は3万円ですが、ご寄付は弊会ホームページで1口100円から受け付けております。ぜひみなさまのお力をお貸しください。よろしくお願い申し上げます。
・ネットでのご寄付 → こちら
・郵便振替でのご寄付→ 口座番号: 00150-7-77254
加入者名: タンザニア・ポレポレクラブ
※ 郵便振替の場合は、備考欄に「裁縫教室指定」と忘れずご記入ください。