火事の様子を報じる現地紙“The Citizen”(10月22日電子版)
2年前の10月、キリマンジャロ東山麓で発生した大規模な森林火災は約95.5平方キロの高山・亜高山帯植生を焼き払いました。キリマンジャロ山で過去30年間に起きた森林火災によって失われた森林面積は約150平方キロとされていますから、この火災がいかに大規模なものであったか分かります。
その火災からちょうど2年が経ったこの10月、再びキリマンジャロ山を大規模な山火事が襲いました。発生場所は今度は南西山麓で、前回とほぼ同じ標高約4千メートル付近。登山ルートとして知られるマチャメルート沿いのバランコ~カランガキャンプ付近になります。上の写真にも登山客のテントが見られます。
キリマンジャロ山の山火事は古くから報告があり、それ自体は珍しいことではありません。しかし近年の温暖化や同山での降雨の減少(過去100年で約3割減少)により、火災の頻度は増えていると言われています。
2020年に起きた火災はすでに触れたように記録的な規模で、鎮火まで1週間かかりました。ところが今回は2週間以上も燃え続けました。乾燥と強風が原因とも言われていますが、一昔前であればもっと早く鎮火できたのではないかと感じています。
以前なら火災が発生すれば誰よりも真っ先に現場に駆けつけ、消火活動に当たっていたのは山に暮らす住民たちでした。しかしその彼らの姿は今はありません(強制動員された者を除き)。山を焦がす炎と煙に、彼らの胸はどれほど締めつけられたことでしょう。「もう我々の関知するところではない」という彼らの言葉は、どうにもぶつけようのない自身の気持ちへの吐け口でしょう。 住民を顧みず実施された国立公園拡大がキリマンジャロ山に生み出した大きな歪みを見る思いがします。
〔No.63 その他の内容〕
●キリマンジャロ山の国立公園問題を巡る最新状況
~地域が動く~
●キリマンジャロ山の森と人々の生活を守る
~ハーフマイル・フォレスト・ストリップとチャガ民族伝統農法との深い関係~
●活動の現場から
・植林活動: 今年もキリマンジャロ山各地の村で植林が実施されました
・自立支援: 裁縫教室、苦境に立たされる裁縫教室
・生活改善:(改良カマド) 新改良カマド完成!
(養 鶏) 試験養鶏の鶏盗まれる・・・
(養 蜂) 養蜂箱の改良には手を付けられず
・そ の 他 : 診療所でのデータ取得に向けて県に打診
●その他
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