「よーし、やるかー」大雨季植林に集まってきた村人たち
3月から始まった2025年大雨季の植林は、6月に入っても村人たちによって続けられています。今年は雨季が始まると間髪を入れず半乾燥地での植林に着手しました。通常、もっとも降雨が多いのは4月なのですが、今年のキリマンジャロ山では5月に入ってからの方が4月よりも雨が続くようになり、しかも豪雨で、再び土砂崩れが起きるようになりました。植林もこの豪雨のためなかなか予定通りに進めることができず、一部の植林地では搬入した苗木が長く植林地に置かれたままの状態となっています。6月に入ってようやく麓のモシの町では雨も止んできましたが、山中ではまだ降り続いています。それでもやっと完了の目途が立ってきました。今年の大雨季も最終的に約1万本の苗木が村人たちによって植えられることになります。
植林地の多くは急な尾根で、這いつくばるようにして苗木を植えなければならないような場所も多く、植林作業は本当に大変です。それだけでなく、急な山肌を削って作った30cmほどしか幅のない滑りやすい小道を、たくさんの苗木を持って運ぶだけでも大変。今回こんなこともありました。カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)が運営している裁縫教室の生徒たちが、「私たちも参加したい」と頼んできました。普段は寄宿舎生活でなかなか外出の機会もなく、加えてTEACAが村人たちとどんなことをやっているのか見てみたかったのでしょう。しかしTEACAの返事は「NO」。なぜならその日の植林地もなかなか傾斜の厳しい場所で、TEACAのリーダー曰く「人さまから預かっている子たちを危ない場所に連れていけない」。しかも頼んできた生徒たちの格好はと見れば、とても植林に行くような格好ではありません。普段村を歩くようないで立ちで、「知ってる?転ぶんじゃなくて落ちるから」と呆れられていました。彼女たちはキリマンジャロ山から遠く離れた場所からやって来ており、山中での植林のことが分からないのも無理はありません。それでも諦めずに別の日には苗木運びを申し出てくれました。結果は、泥まみれ。。。あまりのドロドロぶりに、途中で靴を脱ぎ捨てて、みんな裸足になって苗木を運んでいました。また手伝ってくれるか、かなり微妙。。。
ただ植林の困難さは作業だけではありません。むしろ村で進む高齢化や若者の意識の変化、なかでも村人たちがもっとも植林が必要だと思っている、かつての里山の森“ハーフマイル・フォレスト・ストリップ”が国立公園に取り込まれたことによる、森林保全に対する彼らのネガティブな姿勢は、年を追うごとに強くなっています。そうした状況を見るにつけ、キリマンジャロ山での植林活動は節目を迎えていると感じずにはいられません。
村人たちは自然を守るためだけに植林をしているわけではありません。それが自分たちの生活を守ることだからこそ植えています。彼らがなぜ誰に言われることもなく、長く植林に取り組み続けてきたのか、それを見ない自然保護も森林保護も、村人たちから意欲を奪うばかりです。いまの状況でどうすべきなのか、何をすべきなのか、答えは容易に見つかりそうもありません。しかし見つけなければなりません。
〔No.70 その他の内容〕
●寄稿文 : ポレポレクラブの植林プロジェクトに参加して
●植林活動: キリマンジャロ山の国立公園拡大問題
~転機を迎えるキリマンジャロ山での村落植林~
●収入向上: 害虫対策を施した最終版養蜂箱設置完了
●生活改善: 改良カマド過去最高の53基を設置
●自活支援: 裁縫教室、初めて男の子が卒業!
●その他 :・新旧診療所の病気内訳比較
・新春募金へのご協力ありがとうございます!
・タンザニア、再びSNSを遮断か
・ニエレレダム全電源ユニット稼働
・WEBボランティア募集!
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不要な外国紙幣、コインをお送りください!

タンザニア・ポレポレクラブは書き損じ葉書、使用済み切手、不要書籍などを集めていますが、使うあてのない外国紙幣、コインも集めています。これらは換金され、キリマンジャロ山での植林活動に役立てられています。
収集活動にご協力いただいた方には、何本の植林に繋がったかを記載したお礼のハガキをお送りしております。また企業、団体様の場合、毎月当会ホームページでもご報告させていただいております。
職場や学校などでもぜひ呼びかけてみてください。呼びかけ用のチラシを次のリンクからダウンロードいただけます(収集活動 呼びかけチラシ (PDF))。
不要外国紙幣・コイン、その他収集物の送り先:
タンザニア・ポレポレクラブ
〒107-0062 東京都港区南青山6-1-32-103