キリマンジャロ山では今年の大雨季植林が終わり、各村の苗畑で来年の雨季に向けた育苗作業が始まろうとしています。大雨季植林が終わった後の苗畑は苗木がなくなってガランとしていて何だか寂しい風景です。苗畑グループもやることがなくて手持無沙汰・・・とはいかず、村などと来年に向けた植林計画の立案、予算作成、必要な資材の手配など、結構忙しいのです。
すべての苗木が植えられてガランとした苗畑で、今年度の準備が始まろうとしています
最近のキリマンジャロ山での植林には、これまでにない2つの困難が立ちふさがっています。1つ目は気候の変化です。昨年末は2年続きとなる小雨季の降雨不足で、育苗中の多くの苗木が枯れ死してしまいました。苗木を供給できる他の苗畑から急遽苗木をまわして植林を実施しましたが、今度は大雨季の豪雨で苗木の輸送にとんでもなく苦労することになりました。「今年も雨が降らなかったらどうしよう」と苗畑グループのメンバーも不安げです。貯水槽などを整備していくことにしていますが、昨年のようなことになると、それだけで乗り切れるかまだ不安が残ります。
この苗畑は貯水槽の設置を検討しています
2つ目は、村人たちにとって“生活の森”であった村の上部にある森が、自然保護を理由に国立公園に取り込まれてから、村人たちの「森を守ろう」という気持ちが少しずつ失われてきていることです。自分たちが長年にわたって大事に守り、利用してきた森を一方的に取り上げられ、追い出されてしまったのだから無理もありません。おまけに森林破壊者のレッテルまで貼られては、「やっていられるか」と誰しも思うことでしょう。
先日開催した森林沿いの村々を集めた会議でも、こうした状況をどう打開していくかが話し合われました。汚名を着せられた理不尽さに憤りながらも、参加した村長たちが交わす熱い議論からは、「森を守れるのは私たち」という彼らの気概と自負が感じられました。
会議では、これまでの植林は植林の計画された村が旗振り役になっていましたが、今後は近隣の村々と合同で取り組んでいくことが決められました。そうすることで森を守る取り組みが地域全体の取り組みであるということを、住民たちに強く意識してもらえるようになるからです。また政府に対しても、山麓住民が一体となって森林保全に取り組んでいる姿を示すことにもなります。
今年度は新たな苗畑も2カ所開設することにしています。9月一杯、各村の苗畑の準備でまだまだ忙しい日々が続きそうです!
今年度苗畑を新設予定のオリモ小学校
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