農村滞在、ホームステイ受け入れを再開

農村滞在、ホームステイ受け入れを再開

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昔ながらの方法でキリマンジャロコーヒーを粉に挽いているところ

昔ながらの方法でキリマンジャロコーヒーを粉に挽く。これが大変な作業!

コロナ禍のためキリマンジャロ山の村でのホームステイプログラムは長く中断を余儀なくされていました。しかしここにきてアフリカ大陸全体での一日の感染者数も千人台を切るところまで下がっており、ホームステイの受け入れを再開することにしました。

今回日本からいらしたのは女性の方1名で、キリマンジャロ東山麓にあるロレ村にお迎えしました。2日前にキリマンジャロ登山から戻られたばかりでしたが、村でのホームステイをとても楽しみにされていました。

ロレ村はモシの町からダラダラ(乗り合いバス)で約一時間、そこからピキピキ(バイクタクシー)で20分ほど行った標高1,500メートルほどの所にあります。モシからの道中ははじめは乾燥した低地平原ですが、山を登るにつれて緑が増していきます。本当は緑がまぶしいほどと言いたいところなのですが、十分な雨が降っておらず、例年に比べると埃っぽいのがちょっと残念。

村を歩いているとバナナやアボカドなど、熱帯地方ではお馴染みの果物や果樹にそこかしこで出会いますが、桃やビワなど日本にもよくある木も珍しくなく、驚かれている様子でした。

ロレ村は植林にも取り組んでおり、村に到着するとさっそく村人たちが運営している苗畑まで足を運びました。苗畑では緑化用の樹種のほか蜜源樹、村人たちの日常生活に欠かせない薪や土壌水分を蓄える木など様々な種類の苗木が育てられていますが、ちょうど村人たちが苗木の世話をしているところでした。「何か植林のお手伝いができたら」とのことだったのですが、今回は小乾季であることから苗畑の見学にとどめ、その代わりに翌日には村人たちの植林で甦った森を見に行きました。

ホームステイ先では地元で“キハンバ”と呼ばれる自家農園やキリマンジャロコーヒー農家も訪ねました。キハンバはモノカルチャー栽培の畑と違って畑を平面だけでなく縦空間(高さ)も上手に利用しており、多種多様な作物、果樹などが配置されています。ちょっと見ただけでは森と見間違えそうで、日本の畑などとの違いを実感していただけたのではないかと思います。キハンバには茎と葉を合わせると人の背丈ほどもある大きなタロイモも育っており、さっそくその下で写真をパチリ。

今回の農村滞在では、村のコーヒー農家さんから直接コーヒーを調達することも目的の一つでした。実際にコーヒーを育てている農家さんを訪ね、畑で育てられているコーヒーを見て回りましたが、小農によって栽培されているキリマンジャロコーヒー生産の現場を見られる機会はそうはありません。摘んだ実を実際に私たちが飲む、焙煎した状態の豆にするまでのプロセスも一通り体験できました。コーヒー豆を薪を使って炒りはじめると、あたりには香ばしいコーヒーの香りがただよいます。そしてだんだんと私たちがよく知っている、あのこげ茶色をした炒られたコーヒーになっていきます。今回は昔ながらに臼と杵を使って焙煎した豆を粉にまで挽きましたが、ミーリングマシンで挽けばあっという間のことも、杵と臼でやってみると途方もない作業であることが分かります。

村ではママさんと一緒に料理もされていました。まな板を使わずに見事に野菜を千切りにする技や、調味料をほとんど使わない調理の仕方など、いろいろ発見があったのではないでしょうか。調理したのは“ウガリ”というトウモロコシの粉をお湯に溶かして練ったタンザニアの主食や、“ムチチャ”、“ムナブ”といった緑葉野菜の炒め物ですが、「日本に帰ったらまた作ってみてね」といってママさんがお土産にウガリ粉を持たせてくれました。

村での暮らしの様子に触れる一方で、キリマンジャロ山の村人たちが直面している問題についてもご説明しました。かつて自分たちが利用していた森まで国立公園が拡大され、日々の煮炊きに使う薪集めにも苦労していること、草を刈ることができないため家畜を手放さざるを得ず、空となった牛小屋などもご覧いただきました。世界遺産の山が抱えている現実です。

村の子どもたちと遊ぶ時間があまり持てなかったのですが、外国人は珍しく、子どもたちは何をやっているんだろうと興味津々で集まってきます。日本から千代紙を持っていらしていたのですが、折り鶴はとても人気でした。といっても折るのはなかなか難しいようで、小さな子どもは「作ってー」と言っておねだりをしていたのが可愛かったです。

タンザニアでは私たちのような顔を見ればだいたい「チナ(中国(人))」と声をかけられます。彼らにしても同じですが、この世界に“ジャパニ(日本(人))”という存在があることを知ってもらえただけでも、何かのお役に立てた(?) かもしれません。折り紙で丁寧に角を合わせて紙を折るなどは、子どもたちには驚きの世界だったことでしょう。人と人が出会うことで小さな発見や驚きがあり、それが喜びであったり共感を生んだり、励みになったり。そんな小さな出会いときっかけを紡いでいけたら良いと思います。

村でのホームステイは8月にも計画しており、受け入れ先は今回のロレ村ともう一カ所の村の計2カ所になる予定です。このホームステイを通してタンザニアの村の人たちや日本の方が、お互いのことをちょっとでも知ったり、何かのヒントやきっかけに繋がってくれるなら嬉しいかぎりです。

タンザニア、キリマンジャロ山での農村滞在、ホームステイ

キャッチ画像

「村でのホームステイプログラム」について詳しくは以下のページをご覧ください。

https://polepoleclub.jp/support/homestay/

村でのホームステイプログラム
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