(写真左) マグフリ大統領の死を一面で報じる現地新聞“Mwananchi”(2021年3月18日付)
(写真上) 第6代タンザニア大統領に就任したサミア・スルフ・ハッサン前副大統領
一体誰が想像できたでしょうか。その剛腕から“ブルドーザー”の異名をもって知られた第5代タンザニア大統領ジョン・ポンベ・マグフリ氏の死。3月17日深夜、タンザニア政府がマグフリ大統領が持病の心臓疾患により亡くなったと発表するや、そのニュースはあっという間に全土に広がりました。村人の中には「フェイクニュースに決まってる」と言って信じようとしない者もいました。それほど突然のことでした。
しかし実は、想像できないことはなかったとも言えます。なぜなら2月末から重要な会議や公式行事への大統領の出席が次々とキャンセルされ、また毎週のように週末には教会を訪れ、なにがしかの発言を行っていたのに、それがプツリと途絶えていました。さらに3月に入ると、野党大物から大統領はすでにコロナで亡くなっているとの情報がもたらされ、それにつられるようにして様々な憶測が飛び交うようになっていました。
しかしそれでも、マグフリ大統領を賞賛する者も、忌み嫌う者も、「そんなことがある訳がない」と心の中で思っていた、信じていた節がります。病に伏すことはあっても、死など誰も想像していなかったのです。
「すべては神の思し召し」。生前言っていた言葉のように、彼は逝ってしまいました。その彼をタンザニアを低中所得国まで押し上げた偉人と見るか、恐怖で人を圧し聞く耳を持たなかった独裁的抑圧者と見るか、それはこれからこの国の人々が評価をしていくでしょう。あるいは新たな大統領がその答えを示していくでしょうか?
想像もしていなかったマグフリ大統領の死に直面し、うろたえ、戸惑ったのは当会も同じといえます。問答無用で物事に決を下すマグフリ大統領の存在は、キリマンジャロ山での活動(森の問題の「解決」)にとって最後の頼みの綱でした。どうしようもなく行き詰った時、最後に頼れるのは「彼しかいない(=大統領への直訴)」というのが、当会そして地域連合HAKIMAMAの一致した考えだったからです。
その大統領はもういません。私たちはタンザニア政府と同様、新たな道を探る船出を迫られています。立ち止まっている時間はありません。前を向き、また一歩一歩、歩みを進めていきます。
〔No.60 その他の内容〕
● タンザニアにおけるコロナウィルスの状況(3)
● キリマンジャロ山の国立公園問題を巡る最新状況
~新政権のもとで~
● 活動の現場から
・植林活動: 2年目となるコロナ下での大雨季植林
・自立支援: 裁縫教室、寄宿舎完成、寄宿生受入開始!
・生活改善: ロレ村幼稚園のトイレ完成!
蜜蜂の凶暴化に手を焼く養蜂プロジェクト
診療所への薬剤支援実施
改良カマド:寄宿生自炊用調理小屋を改築
・そ の 他 : オリモ小学校に文具を支援しました
鶏が先か、卵が先か