訪れる患者も少なくなったテマ村の診療所

診療を待っている村人はマスクをしていないようです

タンザニアは今月初旬、全国に85カ所あった新型コロナウィルスの患者受入センターのうち74カ所を閉鎖しました。これはセンターに受け入れている患者の急激な減少にともなう措置として、ウミ・ムワリム保健大臣によって発表されました。

タンザニアは当初公表していたコロナウィルスへの感染者数、死亡者数について、5月8日を最後にデータの更新も発表も停止してしまい（その時点での総感染者数509人、総死者数21人）、その後現在まで約２カ月半、状況が不明なままとなっています。

そうした中でセンターの大幅縮小が実施されました。センターに収容される患者の数は、大臣の言うように実際に減っているのだと思います。しかしそれがタンザニアにおける感染者数の減少を意味しているかについては、慎重であるべきでしょう。

タンザニアでは6月初旬にコロナウィルスに対する勝利宣言が出され、さらに大統領が集会に集まった国民がマスクをしていないことを誇らしげに語るような状況下、感染を疑って病院に行ったり、マスクをしたりすることに対してネガティブな影響が出ている様子が伝わってきます。

キリマンジャロ山麓テマ村に完成した診療所では、タンザニアでコロナウィルスへの感染者が発生して以来、政府からの薬供給が滞り、また診療所に行くことで感染することを恐れる村人たちが敬遠した結果、ここにきて来診者数が激減しています。(下表参照)

経済を回すこともパニックを避けることも大切です。しかしそれと情報を出す出さないはまったく別のことです。何より、物言えば唇寒しの今の状況を恐れます。

表： テマ診療所の患者数推移