キリマンジャロ山で採れたハチミツ
前回の現地調査で持ち帰ってきたキリマンジャロ産のハチミツ(ミツバチ)。色は日本で売られているハチミツよりかなり濃く、黄金色というより焦げ茶色をしています。日本では鉄分が多く含まれる栗の花から採れたハチミツがそうした色をしていますが、タンザニアに栗はなく、どうしてそのような色をしているかはまだ分かりません。一度成分分析をしたいと思っていますが、おもしろい結果が出るかも知れません。あるいは巣に含まれるプロポリスの色なのかも知れません。
じつはこのハチミツ、日本の養蜂家の方に所望されて現地から持ってきたのですが、ペロリとひと舐めすると、「ああ、これは典型的な百花蜜(ひゃっかみつ)の味だ」とおっしゃいました。
“典型的な百花蜜の味”とははてさて、どんな味なのか、日本の普通の単花蜜(一種類の花の蜜、ニセアカシアが多い)とどんな風味の違いがあるのか、尋ねてみました。すると「説明するのは難しいけれど、単花蜜は風味が分かりやすい代わりに深みがなく、百花蜜はさまざなな花の花蜜のブレンドのため花の特定が難しい代わりに、味に深みがある」とのことでした。何やらコーヒーのカップテストの評価を聞いているようですが、さすがにプロの方の説明は上手いものだなと思いました。
確かにキリマンジャロ山では、この時期にはこの花が圧倒的、というのがありません。いろいろな木が何となくバラバラ、ダラダラと咲く感じで、年に2回花を咲かせるものもあります。それでも大雨季~大乾期(9月~10月)が一番の花のシーズンだとはいえます。ただ困ってしまうのは、同じキリマンジャロ山麓でも、尾根によって結構開花シーズンにズレがあることです。
アフリカのミツバチは気性が荒く短気で、養蜂も一筋縄ではいかないのですが、それに加えてこうした開花時期の季節的、地域的漫然さが輪をかけて混乱させる要因となっています。表1は、キリマンジャロ東南山麓のテマ村と、東山麓のロレ村(どちらも標高は1,700m程度)における蜜源樹の開花時期を表したものです。図で赤色は腫瘍蜜源樹、灰色に網がけされているのがテマ村、”L”の文字があるのがロレ村の開花シーズンになります。重なっているような、重なっていないような、微妙なズレがあることをお分かりいただけるかと思います。
キリマンジャロ山の花カレンダー
まだこの図自体、作成途中で完成版ではないのですが、キリマンジャロ山での養蜂といっても、地域性を考慮しなければ上手くいかないであろうことは、この開花シーズン一つとっても一目瞭然といえます。
もちろん日本でも地域によって開花時期もシーズンも異なりますが、それは列島レベルの広範なエリアを対象とした場合であって、同じ山の同じ標高でというのとは異なります。
主要蜜源の中で日本人にも分かりやすいものに、アボカドとコーヒー(キリマンジャロコーヒー!)があります。”アボカドハチミツ”や”コーヒーハチミツ”と聞いただけで、何となく舐めてみたくなりませんか!?
アフリカ、そしてキリマンジャロ山での養蜂には、日本にはない難しさがありますが、一方でこうした魅力的な要素、秘めたポテンシャルがあります。当会はキリマンジャロ山での養蜂にじっくり取り組み、こうした要素やポテンシャルをうまく引き出し、様々な意味で現在困難な状況に直面している山麓住民、地域の活性化に繋げていきたいと考えています。
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