ハリナシバチ養蜂受難の時代

  1. TOP
  2. 投稿
  3. ハリナシバチ養蜂受難の時代
海外活動養蜂

 

キリマンジャロ山の村を歩いていると、ときどき家の軒先などに丸太を吊しているのを見かけます。もちろんただの丸太ではなく、木の幹をくり抜いて作った伝統養蜂筒です。飼っているのはミツバチではなく、黒い色をした小さなハエのようなハリナシバチです。

ハリナシバチは森林姓のハチで、花粉の媒介者として森林の存続に重要な役割を果たしていますが、森ばかりでなくそこに暮らす人々にとっても、とても重要な存在となっています。ハリナシバチのミツは昔から薬効が高いことが知られており、村人たちは日本で言えば家に置いてある薬箱のようなつもりで、このハリナシバチを大事に飼っているのです

ところがこのハリナシバチの入手がとても難しくなっています。もともと森林姓のハチなので、森林が減少すると生息域が奪われ当然数が減ります。キリマンジャロ山ではこの100年間に約3割の森が失われたと言われていますから、ハリナシバチの減少と決して無縁ではないでしょう。しかし原因はそれだけではないように思います。伝統養蜂では森林に養蜂筒を仕掛け、そこでハリナシバチを飼っていたのですが、いま養蜂のために森林に入ることは許されなくなっています。そもそも村人たちがハリナシバチを調達できる環境ではなくなってしまっているのです。

先進国であれば病気になれば医者に行くこともでき、また薬を買ったり常備薬に頼ることもできますが、キリマンジャロの村ではそうはいきません。体調がちょっと優れないときに村人たちが頼りにするのがこのハリナシバチのミツなのです。それがいま村人たちには容易には手に入らなくなっています。

私たちのカウンターパート・テアカもこのハリナシバチの養蜂をしており村人たちの需要に応えていますが、養蜂箱を増やしたくても増やせない状況で、とにかく苦しんでいます。このほどようやくすでに飼っていた村人の家から分蜂してもらい2箱だけ増設することができましたが、増設は3年ぶりのことになります(現在養蜂箱、養蜂筒合わせて11個設置されています)。

ハリナシバチは村人たちの健康を支え、またそのミツは良い価格で売れたことから、彼らの家計の助けともなっていました。しかしそれがいま出来なくなっています。地域の人々の健康や収入を犠牲にしてでも自然(森)を守れというのは、外部の人間のエゴでしかないでしょう。ハリナシバチ養蜂には受難の時代と言えますが、それは等しくキリマンジャロ山の村人たちにとっての受難の時代であることを意味しているのです。

 

******************************************************

●キリマンジャロ山麓で取り組んでいる養蜂プロジェクトへの応援を
 ぜひお願い致します!
 1口100円からのご寄付が可能です。

 ・ネットでのご寄付 → こちら
 ・郵便振替でのご寄付→ 郵便振替口座番号:00150-7-77254
             加入者名: タンザニア・ポレポレクラブ
 ※ 郵便振替の場合は、備考欄に「養蜂支援」とご記入ください。

******************************************************

一覧へ