変わりゆくキリマンジャロ山の環境保全活動

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海外活動森林保全

 

村人たちの植林により蘇りつつある森

 

キリマンジャロ山での地域住民による森林保全活動は、いま大きな転機を迎えています。キリマンジャロ山には植林に取り組んでいるローカルNGOがいくつかありますが、なかでも約30年にわたって山麓の村々に苗畑グループを育て、植林活動を指導、牽引してきたテアカの存在は圧倒的といえます。その森林保全に対する功績が認められ、2012年には大統領からタンザニアの最優秀環境団体として表彰されたことからもそのことが分かります。

 

しかしその後、キリマンジャロ山の状況は大きく変わりました。これまでのようにそれぞれの村やグループが各個に森林保全活動に取り組めば良いという状況ではなくなったからです。キリマンジャロ山の森林を一体のものとして統一的な保全戦略のもとに管理していく必要性が生まれたからです。それはキリマンジャロ山が世界遺産として、その自然の全体を網掛ける保全管理が求められているからに他なりません。

 

こうした状況に対し、地域の村々は地域連合を組織しその実現を目指していくことにしました。

ただ問題となるのは、これまでキリマンジャロ山で植林活動を主導してきたテアカとの戦略の整合性、お互いの活動の再定義および明確化、そして活動資金の問題です。両者は森林保全・管理という組織目的こそ重なりますが、ローカルNGOであるテアカと地域連合とでは、組織の性格は全く異なっています。この両者が今後どう活動を整理し共生していくか、今回現地で大きな問題となりました。

 

お互いの話し合いを通し、今後テアカは苗畑グループの指導、育苗、植林地までの苗木の搬入を担い、地域連合はそれぞれの村との植林計画の策定、州・県・キリマンジャロ国立公園公社等の政府機関との折衝、各地域での植林の具体的実行を担っていくことになりました。

 

一方、資金面では、地域連合には今のところ自己財源がなく、必要な活動資金のすべてをテアカに頼るしかないのが現状です。地域に環境グループを育成することはテアカの重要な活動の柱であり、これまで地域連合の育成に非常な努力を傾けてきました。しかしその地域連合は、今ではキリマンジャロ山麓の村々を束ねる組織に成長し、植林の実行ではテアカからその役割を引き継ごうとしています。当然予算規模も大きくなり、テアカの資金を圧迫する状況となっています。

地域連合は今後各村からの会費徴収や助成申請などを行い、自己資金の確保に向けた取り組みを開始しますが、すぐに活動資金のすべてを賄うのは到底不可能です。長期的な視点に立って資金面でも目処を付けていくことが今後重要となってきます。

 

最終的には受益者負担の原則をキリマンジャロ山の村々で実行していくのが道筋だと考えています。つまり無料で使える自然資源はないということを地域住民に理解して貰い、利用には必要な対価を支払ってもらうようにするということになります。その資金を地域連合の恒久的な森林保全活動費に充てていく計画です。

 

その理解を得ることは容易ではないでしょうが、これから時間をかけてその必要性を説いていくつもりです。

 

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