俄に資源大国化するタンザニア

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画像出典元: ”TZ discovers huge helium deposits in Lake Rukwa”の見出しでヘリウム田発見を報じるタンザニアのニュースサイト 「The Citizen」 (6月29日付)

 

タンザニアで、世界の供給不足を一気に解消するレベルの大規模なヘリウム田が発見されたというニュースをご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

 → 「タンザニアに「世界級」のヘリウム田、供給不足を解消も」 (CNN.com日本語訳サイト)

タンザニアでは国ベースで世界の埋蔵量の20位~30位に匹敵する天然ガス資源も発見されており、今回のヘリウム田の発見によって同国は俄に資源大国に躍り出ようとしている感があります。

ヘリウムは太陽をはじめ宇宙には大量に存在していますが、地球にはそれほどなく、日本では100%を海外からの輸入、そのほとんどを米国に依存しています(2013年までは9割を依存)。

そのヘリウムは超電導磁石や半導体製造などには欠かせない物質で、ひと頃は東京オリンピックに間に合うかなどとも騒がれていたリニアモーターカーの実現にも欠かすことが出来ません。ところが世界的な需給の逼迫から2012年には日本国内の備蓄がなくなってしまい、工場が止まるという「ヘリウムショック」が起きたことをご記憶の方もおられるでしょう。

昨今日本がリニア技術をアメリカに売り込もうとしているとのニュースも流れていますが、その背景にはアメリカからのヘリウム供給を止められないように保証して貰うためのバーター取引との噂もあります。日本では「ヘリウム一滴、血の一滴」と言うそうですから、案外本当の話しなのかも知れません。

それほど貴重なヘリウムが、当座世界の需給逼迫状況を覆せるほど大量にタンザニアで見つかったとなれば、各国がその資源争奪に乗り出してくることは想像に難くありません。同国の天然ガス開発では、タンザニア政府の取り分が少ないということで問題になったこともあり、資源が見つかることが必ずしもハッピーな状況を産出国にもたらすとは限らないのも世界の現実といえるでしょう。このヘリウムの発見によってタンザニアが食い物にされることがないよう願わずにはいられません。

日本はタンザニアでの天然ガス利用において、同国では初となる天然ガス焚き複合火力発電所の建設を官民協力の結果として受注した実績がありますが、ヘリウム田開発においても、まずはタンザニアとその国民が優先してその利用による便益を享受し、発展に繋げていけるような協力をして欲しいものと思います。日本にはそのような協力ができるし、世界の中でそうした理念を掲げて協力するのが「日本」という地位を築いて欲しいと思っています。

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