その他
キリマンジャロ山の麓、モシの町にある政府の職業訓練校VETAを打ち合わせで訪れた時のこと、VETAの駐車場の隅になにやら古めかしい車がとめてあることに気づきました(写真1)。近寄ってみてビックリ、なんとタンザニアの国父ニエレレが、かつて独立に向けた運動の展開のために全国を飛び回っていた時に使っていた車だったのです!(写真2)。
普通、こういうものは博物館で大事に保存され、国民に広く公開・展示されるものではないのかと思うのですが、屋外で誰に知られるともなく雨ざらしとは・・・。車中にはごく簡単な説明書きが、これも投げ捨てるように座席の上に置かれているだけ(写真3)。これで良いのか???とこちらが気を揉んでしまいました。もっとも、何ともタンザニアらしいような気もしましたが。
(写真3)
世の指導者には持論をぶつだけの上から目線で国民ここにあらずといった者も少なからずいますが、国民から「ペペ」の愛称で呼ばれ「世界で一番貧しい大統領」としても知られる南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領や、同じく「ホーおじさん」と呼ばれ国民から敬愛されたベトナムのホーチミンなど、国民に寄り添った指導者たちもまたいます。名(愛称)は体を表すではありませんが、いまも「ニエレレ先生」と親しみを込めて呼ばれるニエレレも、後者に名を連ねる一人だといえるでしょう。
そんな目であまりに無造作に一般車両と並んで止められている件の車を眺めていると、これも彼への国民の親しみの表れなのだろうか、とも思えたりもするのです。