現地カウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)は、国連開発計画(UNDP)からの支援を受け、2回目となる改良養蜂箱の配布をキリマンジャロ山の10村に対して実施しました。配布された養蜂箱は合計50箱で、それぞれの村で植林に取り組んでいるグループや女性グループなどを対象として実施しました。
村への養蜂箱の支給の模様
この改良養蜂箱はトップバービーハイブと呼ばれるもので、箱の上部に棒状の板(トップバー)が蓋のように並べて置かれているものです。ちょっと見た目にはとても単純な作りに見えますが、実は養蜂箱は科学のかたまり。
たとえばトップバー。その幅は32mmでなければなりません。31mmでも33mmでもダメで、ジャスト32mmです。なぜかというと、この幅はハチの体の大きさと巣と巣の間の最適スペースをもとに算出されているからです。アフリカのミツバチにとって”居心地の良い”スペースは7mmで、そのためにはトップバーの幅は32mmである必要があるのです。これが皆さんがよくご存じの西洋ミツバチになると、彼らはアフリカのミツバチより少しだけ体が大きいため、日本の養蜂箱などでは、このトップバーにあたる巣枠の幅は35mmになっています。
ところがこのミリ単位での加工が、現地では容易ではありません。以前、村の職人さんに作製をお願いしたところ次のような会話になりました。
職人: 「ミリ?ミリって何??センチのこと???」
私 : 「はい?いやいやセンチではなくて、ミリ。
ミリっていうのはセンチの10分の1で・・・」
職人: 「はぁ???」
私 : 「いや、だからセンチの10分の1で・・・」
職人: 「はぁ???」
村でいかに”ミリ”という単位が非日常の世界であるかがお分かり頂けるかと思います。仮に分かったとしても、ミリ単位での加工は至難の業といえ、改良養蜂箱の作製は町の製材所に頼んでいます。その製材所でさえ、「何でハチごときのためにミリなわけ?」と怪訝に思っている雰囲気プンプンです。
でもダメです。ミリでお願いします、ミリで!