タンザニア・ポレポレクラブが設立された1997年からまもなく20年が経とうとしていますが、その間キリマンジャロ山の森林保全に息長く取り組んできた主役は地域の多くの村人たちであり、彼らの指導を丹念に続けてきたカウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Assciation)です。
しかしそうした20年間の取り組みを支えてきた影の主役がいるのをご存じでしょうか?それは、TEACAが使っている四輪駆動車です。この車がなければ、キリマンジャロ山を広くカバーする取り組みを支え続けることはとても出来なかったでしょう。
(写真1) キリマンジャロ山の植林地を巡回するTEACAの四輪駆動車(2014年)
山奥の僻村で重病人が出た時などには人々の命を繋ぐ救急車としても使われているこのTEACAの車ですが、キリマンジャロ山のとんでもない悪路を日々フル稼働で走り続け、その走行距離はすでに50万キロを超えています。先進国の舗装道路を走る車でさえ、50万キロ走っている車は殆ど無いのではないかと思います。
(写真2) 山腹にある小学校の植林活動を指導しに来た時の写真(2014年)
2005年にはキリマンジャロ山の山道から転落するという大事故にも遭いましたが、この車の重要性を理解している数百人の村人たちによって谷から引き上げられ、今でもだいぶひしゃげてはいますが、それでも何とか走れるように修理し現在にいたっています。
(写真3) キリマンジャロ山の崖から転落(2005年)
しかしこの夏の調査時には、1回走らせるとどこかが壊れてそのままガレージに直行に近い状態で、さすがに走らせるのももう限界と感じる毎日でした。本当ならこれまでの活躍をねぎらい引退させてあげなければならないのですが、かといって車を更新するような資金的ゆとりはなく、まさにこれからキリマンジャロ山での森林の広域管理を目指していく中で、どうしたものかと頭を痛めています。