2011年からキリマンジャロ山の国立公園内で開始された地域のイニシアティブによる植林活動も今年で3年目を迎えました。ルワ村上部に位置する国立公園エリアで口火を切ったこの植林活動は、その後ロレ・マレラ村、ムシリ村へと、キリマンジャロ山の東南山麓から東山麓に向けて拡大展開しています。
この植林では、初年度は植林用苗木の全数約1万6千本をTEACAが育苗し、植林地まで搬出しました。2年目は地域での苗木の自己調達を目指して、ルワおよびロレ・マレラの2カ村に苗畑を立ち上げました。ただこの時点ではまだ育苗数が少なく、植林用の苗木はまだTEACAからの供給に頼っていました。そして3年目となった今年から、ルワ村では約2千5百本の苗木を、植林用に自村の苗畑から供給できるようになりました。残念ながらロレ・マレラ村は水不足で苗木の確保が出来ませんでしたが、今年はこれまでのところ雨に恵まれており、来年の植林からは、自己調達による苗木が地域での植林に寄与できるようになるでしょう。さらにムシリ村でも苗畑を立ち上げ、地域主導による植林の体制を着々と築きつつあります。
この地域主導による植林は、たんに「森を守る」というだけでなく、「誰が森を守ることが出来るのか」、「誰が森を守るのか」といった強い意識付けを、地域の人々の中に生んでいるように思います。
たとえばこれまで私たちが長く植林に協力してきたテマ村では、「森を守りたい」という村人たちの強い決意と意志が、彼らの20年にも及ぶ植林活動を支えてきました。いまはそれに先の2つが加わったというのが実感です。「森を守る」主体、「森を守れる」主役は誰なのか、そのことをはっきり自覚して取り組んでいる、その違いを、地域主導植林は生んだように思います。
もちろんこれは、森は村人たちが守るべきだということではありません。キリマンジャロ山の森は、それに関わるすべてのステークホルダーがお互いの得意を活かし、応分の責任を果たし合う、協調と協働によってしか守れないと考えています。そのための仕組みを作らなければなりません。
少し話がそれましたが、地域の人々の主体、主役としての気概は、地域に新たな苗畑が立ち上がるという形でも現れています。いつの間にかあちらに一つ、こちらに一つといった感じで、村人たちが立ち上げたものです。「育苗樹種や数の調整が必要になるな」、「長く続くかな」といった心配もあるのですが、私たちはこうした村人たちの変化や努力を大切にし、共に力を合わせ、前進していきたいと思っています。
ロレ・マレラ村に村人が立ち上げた苗畑