Rafikiプロジェクト:2013年7-8月現地渡航調査報告②(’13/9)

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海外活動その他

Rafikiプロジェクトでは7月24~8月9日にかけて現地渡航調査を行いました。今回は渡航調査報告第二回目として、テマ村ガイドブックの配布、森林利用調査ポスターとキリマンジャロ衛星写真の配布、小学校訪問とNatiro中学校環境クラブとのミーティングについて報告します。

 

1.テマ村ガイドブック(簡易版)の配布

Rafiki Projectでは「森を守るには気持ちが大切」という考えの下、森に関する古くからの知恵・知識を集めたテマ村ガイドブックを作成しました。誇りに思うものが多くあればあるほど、森への愛情しいては森を守りたいという気持ちに繋がるのではないかと考えているためです。今回は、そういった概念的な話よりもまずガイドブックそのものに触れてもらうため、また、ガイドブックを通じてより多くの方にRafiki Projectの事を知り参画してもらうことを目的に、アンケートを添付したテマ村ガイドブックの簡易版を配布し意見を聞きました。1つ目の方法としては、教会の日曜礼拝でガイドブックを配布し、1週間後にアンケートを回収しました。

<アンケート配布を行った各教会での配布数に対する回収数>  

 教会名:回収数/配布数

 Maideni教会 : 18 / 30

 Natiro 教会: 9 / 10

 Foyeni 教会: 9 / 10

Maideni教会では、教会内で別に場所を借りアンケートを持参した方に回答理由のヒアリングを実施し、また持参した方々以外で回収場所を訪れた方にもガイドブックを見せ、その場でアンケートに沿ってヒアリングを行うという方法をとりました。上記の通りアンケートの回収率は7割でした。Maideni教会での意見のヒアリングにおいてはヒアリング場所が人々の教会からの動線と反対であり、また回収・ヒアリングの準備が予定通り行えず、意見を聞けたのは8名のみで、回収率・ヒアリング数共に結果は良くありませんでした。二つ目の方法としては、数人の方々を訪問しインタビュー実施する方法をとりました。

アンケート中で、「このガイドブックに掲載されているような知識や知恵を誰に伝えたいか」という設問があったのですが、これに対して多くの方が「家族、特に子どもや孫に伝えたい」と答え、やはり昔から引き継がれてきた大切な知恵や知識は多くの方が次世代にも残していきたいと考えていることがわかりました。一方、ガイドブック中のスペルミスや、お年寄りからは字が小さくて読めないなどこれからの課題となる意見も多く出されました。

今回ガイドブックの頒布を行い、今まで全くRafiki Projectを知らなかった方々にガイドブックを渡し触れてもらえたことは一歩前進となりました。しかし大多数への大量配布では、ガイドブックは単なる図鑑ではなく、森の大切さを感じてもらうためのものであるという意図を説明し理解を確認することは難しいこともわかりました。今後は、人数は少なくとも我々の意図を伝えながら渡していくことが必要だと実感しました。

 

2.森林利用調査ポスターとキリマンジャロ衛星写真の配布

森林利用調査のポスター(2012年8月の現地渡航で森林利用調査を実施。森に入る人数/森から得ている物の種類と量/森から得ている物を貨幣換算した金額をまとめたもの)を前回の渡航で要望があった全5村区に配布しました。またキリマンジャロの衛星写真(1976年と2000年のキリマンジャロ全体とテマ村周辺の森を撮影したもの)を村役場・5村区・教会等村の人々が訪れる場所に掲示してもらえるよう配布しました。これらの資料は上述のとおり各グループとの個別ミーティングでも併用し、森から多量の木を得ているにも関わらずテマ村周辺の森が守られているという証拠を村の人々に示すことができました。

 

各村区長に衛星写真と森林利用調査ポスターを配布

各村区長に衛星写真と森林利用調査ポスターを配布

 

3.小学校訪問

これまでの訪問でテマ村カルタを渡したFumvufu・Olimo・Foyeniの各小学校を訪問しました。今回は、カルタの各小学校での使用状況のヒアリングと、今まで時間が無かったためできていなかった、「生徒たちに森に関する知識を楽しく覚えてもらうため」というカルタ作成の意図を各小学校の先生方に時間をかけて説明し、理解して頂くことを大きな目的として臨みました。説明後、生徒の皆さんと一緒にカルタのルールを確認し遊びました。生徒のみなさんが非常にカルタに関心を持ち、カルタに書いてある民族の伝統や植物などをよく覚え、終始喜んで遊んでいる様子から、「楽しみながらカルタに書いてある知識を覚えられる」というカルタの効果を見てとれました。また、各小学校の先生方も生徒の皆さんの様子を見て、カルタの効果を納得され、「子どもたちが森の知識を知るために効果的なツールである」といったコメントを下さいました。

今後はカルタに載せている民族の伝統や植物が村の人々が子どもたちに伝えていきたいものと合致しているのか、まずは小学校の先生方を中心に聞き、実際の村の人々の意見を反映していく予定です。

 

Foyeni小学校の生徒たちがカルタで遊んでいる様子

Foyeni小学校の生徒たちがカルタで遊んでいる様子

 

4.Natiro中学校環境クラブとのミーティング

Natiro中学校の環境クラブの生徒さんに、3年前からテマ村ガイドブックに掲載する記事を書いて頂いています。記事を書くことはRafiki Projectからの依頼ではなく、村の人々の「森を守りたい」という気持ちを支える活動を共に行っていきたいということを伝え、理解していただくためミーティングを行ないました。その際、調査し執筆して頂いた生徒さん達自身の活動の成果を紹介できる機会があるかどうか聞いたところ、8月17日に保護者を招待して行われる発表会を使い発表できるという意見が出されました。自分たちの調査・レポートを発表することにより、それらが自分たちの活動の成果であることを実感できるよい機会になったのではないかと考えています。

さらに、環境クラブの生徒さんたちの中から数人、テマ村ガイドブックの教会での意見回収の際に通訳なども手伝って頂きました。この時に手伝ってくれた生徒さんたちは、Rafiki Projectの取り組みの目的やガイドブック作成の意図についてよく理解し、自分たちの言葉でその内容や主旨を村の人々に説明していました。このように私たちの取り組みを理解してくれた生徒さんたちが、クラブのメンバーや他の生徒さん達、学校以外での若い方々に対してそれを広めてくれるスピーカーとなってくれることを期待しています。また今回の活動を通し、メールだけのやり取りやミーティングでのこちらからの説明だけでなく実際に顔を合わせて話し共に活動したことで、生徒さんたちのRafiki

Projectの取り組みへの理解も確認でき、今後も協力関係を築いていくことができると実感しました。

 

Natiro中学校環境クラブの生徒さんたち

Natiro中学校環境クラブの生徒さんたち

 

5.まとめ  

今回の渡航調査では、村の人々と対話する機会が多くあり渡航メンバーにとって今まで想像でしかなかった村の人々の森に対する思いを聞くことができました。また、村の大人たちが自分たちの民族の伝統や森に関する知識を子どもや孫といった次の世代に伝えていきたいと願っていることを認識しました。その思いや願いを今後のツール作成や今後のプロジェクトの活動に反映していこうと考えています。

またこれまでもワークショップや座談会を行ってきましたが、今回のようにこちらからの「森に名前をつける」という提案に対し村の人々が自身の問題として熱のこもった議論を行い、それが結論に至り、今後の方針が決まったことは一定の成果であると考えています。しかしそれぞれの取り組みに対しフォローの継続が不可欠です。森の名前については、村の意思決定プロセスに則っていくか見守る必要があります。森の名前が決まったとしてその先はどうするか、村の人々と共に考えていきます。また各村区や教会に配布したポスターや衛星写真が有効に活用されているか確認が重要です。カルタに関しては、生徒さんたちが継続的にカルタで遊んでくれる仕掛けを検討する必要であると考えています。Natiro中学校環境クラブの生徒さん達と実感できた協力関係を維持していくために、現地で我々と具体的な活動を行うことや、レポート以外で生徒さん達が主体的に取り組めるものを考えていく必要があります。それぞれの活動が滞ってしまわないよう、皆で考え、取り組みを続けていきます。

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