事務局日誌: データから見る村の様子と人々の暮らし(No.5)

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今回も村(テマ村)で飼われている家畜の話をしたいと思います。前回、村では全世帯平均で、どの家でも牛と山羊を必ず1頭は飼っており、鶏は3羽、2世帯に1世帯の割合で羊を1頭、3世帯に1世帯の割合で豚を1頭飼っていると書きました。

ここで前回使った表1をもう一度ご覧いただきたいと思います。これまでは全世帯で平均したらという数字を用いてきましたが、村の中にある「村区」別に内訳を見てみると、ある傾向が読み取れます。

 

(表1)村の世帯調査の結果

(表1) 村の世帯調査の結果

 

表では、Maideni村区、Tema村区で1世帯あたりの家畜保有頭数が多く(表中赤で示した数字)、Foyeni村区、Mwika村区では少ない傾向(同じく青で示した数字)にあることが分かります。同じ村の中でこうした違いが出るのはなぜなのでしょうか?

実は表1の村区は、上から順番に、森から近い順に並べてあります。このことは、森からの距離が家畜保有頭数の制約要因として働いていることを示しています。つまり表1からは、森が家畜の保有頭数にプラスの恩恵をもたらしていることを読み取ることが出来ます。村人たちに現金で飼料を買う余裕はありませんから、家畜飼育のためにはそのための飼葉の確保が絶対条件となってきます。森はその飼葉を提供する重要な役割を担っているのです。森が人々の生活にもたらす恩恵には様々なものがありますが、家畜飼育の可能性を高め、それを下支えるという恩恵と役割については、案外目が向かないものです。※

※ 2012年にテマ村で実施した調査では、1週間の間に家畜の飼料や薪採取のために   森を利用している村人の人数は約1,300人で、これは年換算すると約7万人の村 人が森を利用していることになります。

 

(次回に続く)

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