植林後の育林作業

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海外活動森林保全

「植林活動」というと、読んで字の如く”木を植えている”姿が連想されますが、実際は苗木を植えたら植えっぱなしの状態で木が育ってくれることは、なかなかありません。

植林後の植林地には場所にもよりますが、雑草(というよりブッシュ)が生い茂ってきて、苗木をあっという間に覆ってしまいます。そうなると苗木には日光が届かなくなり、枯れてしまいます。そのような場所では、苗木がブッシュの背丈を超すまでの数年間、人海戦術で刈り払い作業を続ける必要があります。

ようやく苗木がブッシュの背丈を超すと、今度は良い木に育つよう、枝打ち作業が始まります。とくに植林樹種の一つであるピナス・パトゥラ(マツ科)は、根元からもどんどん横枝を出してくるので、この枝打ち作業も大変です。もっとも作業によって出た枝などの材は、各家庭で煮炊きに使う薪として重宝するので、ママたちが喜んで持って帰ります。

そしてさらに木が大きくなって、樹冠が密閉してくると、最後に間伐作業を行います。間伐をしてやらないと、それぞれの木はやせ細ったような状態となり、枝葉もとても窮屈でか弱いものとなってしまいます。間伐をしてやった後の木々は、その後はとてものびのびと元気よく育ってくれます。実はキリマンジャロ山で国立公園が拡張された後、この刈り払いや枝打ち作業が禁止されてしまい、既存の植林地でもダメージを被る場所が出てきています。木だけ植えて放置すれば良いという考えは、見直してもらう必要があるといえます。

ところで先日、キリマンジャロ山の中でも激しく森林が失われ、ほぼ丸裸の状態となっている尾根ロレ・ヒル(Vunjo地区)の植林地で、地域住民たちによって枝打ち作業が取り組まれました(写真1)。この植林地は住民の居住エリアにあるため、国立公園による上記のような制約を受けません。植林を始めた頃(写真2)と比べると、ずいぶん木が育ってきている様子がお分かりいただけるかと思います。

ロレ・ヒルの尾根は森林が失われてから既に数十年が経過しており、土壌の多くが失われ、その下の岩が露出してしまうような状態となっています(写真3)。一度に大量に植林することは出来ず、少しずつ植え、確実に根付かせていくことが必要とされています。尾根すべてにかつてのような緑を取り戻すためには、木が失われてから経過したのと同じくらいの年月が必要になるでしょう。失うことは本当に容易く、それを取り戻すことは気が遠くなるほど大変なことを、実感せずにはいられない現場だと思います。

 

写真1

写真1

写真2

写真2

写真3

写真3

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