Rafikiプロジェクト:2012年8月現地調査概要報告('12/9)

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海外活動その他

今年8月に現地調査に行って参りました。その後も、まとめ作業などでホームページの更新などが少なく申し訳ありません。今回はそのRafikiプロジェクト現地調査の内容を今回お伝えしたいと思います。といっても1回で全てを伝えきることは難しいため、今回は概要のみに留め、個別日程の詳しい内容や課題と今後の方針などは、次回以降に分けてアップして参りたいと思います。更新が少なかった分、10月・11月はその分の記事を普段より多めに載せて参りますので、是非ご覧ください。

今まで、Rafikiプロジェクトは、村人と一緒に「森の大切さ」「森の重要性」に対する「思い」の部分を明確に、かつみんなで共有できるようにすることを目的として活動してきました。その中で、0から始まった活動が、少しずつ方向性が固まり具体的な形になってきていました。一方で、いくつかの問題点や課題が存在していました。

1つ目は、「今までに集めたデータが果たして正しいのか」という懸念があったことです。例えば、Rafikiプロジェクトでは、村の森に関わる自慢を集め、ガイドブックを作ろうという活動をしており、そのために多くのデータを日本語で蓄積してきたのですが、それを今回は全部英訳してサンプルバージョンを持ち込むこととなっていました。ところが、このデータ英語やスワヒリ語で集めたデータを日本語に直すだけでなく通訳・翻訳が入り集めたデータも混じり、さらには、スワヒリ語→英語という通訳、翻訳をさらに日本語でまとめ直したデータも入っており、また、屋外でのインタビューで時間がない中メモをし、夜な夜な直すといった作業を経たものもあり、怪しいデータや読んだだけでは明確に何を指すのかわからないデータなどが一部存在していました。そのため、今回の渡航では「今まで集めたデータが正しいのか否か確かめよう」ということを1つ目の大きな目的としていました。

2つ目も上記のデータ収集の方法に関連するのですが、森やそれに関係する植物等に詳しいおじいちゃんやカウンターパートのTEACA、伝統料理や伝統薬を研究・普及している女性グループ(画像1)などを中心に聞き取りを行ってきました。彼らの知識や経験は非常に貴重なものでありまとめる必要があるのですが、一方で、「彼らの意見そのままイコール村人全体の意見」として良いものか、また、彼らは我々を案内する中で見つけたものを説明しただけで、特段村にとって重要なものであるとは限らないのではないか、という懸念がありました。そのため、2つ目の目的として、「より多くの村人から一般的な意見を得よう」ということを2つ目の目的としました。

 

 (画像1) 女性グループ(Faraja)の薬草園にて

(画像1) 女性グループ(Faraja)の薬草園にて

 

3つ目は、これが一番重要なポイントかもしれませんが、今までの活動はまだまだ日本人が中心の活動で、「日本の市民とタンザニアの村人の」活動とは言えないのではないかという懸念があり、「村人自身に何か決定してもらおう」ということを目的として行ってまいりました。(目的などの説明が必要と思われる日程に、コロン「:」をつけておきます。詳しい個別日程に関しては、次回以降の記事にてお伝えしたいと思います。)

もちろん、他にも写真が不足してるデータを集めよう等の細かい目的がありつつも、基本的にはこの3つの目的と達成するために、以下の日程にて行ってまいりました。

 

 8月8日 TEACAとの初日ミーティング:全体説明

 8月9日 有識者ミーティング:森に詳しいおじいちゃんに我々の集めたデータに何か不備がないかを一個一個確認してもらう。

 8月10日 山歩き:不足している情報や写真を集めつつ、今まで集めたデータを確認する。

 8月11日 植林

 8月12日 教会投票:多くの村人が集まる日曜礼拝にて、今まで集めた我々が村の自慢と考えるものに投票してもらって、村人が実際に何を自慢と考えているかを知る。また、他に何かないかアイディアを提供してもらう。

 8月13日~17日:森林利用調査(画像2):森から何をどれだけの重量、そして価格を村が持ち出しているかを調査する。(初日のみ現地調査員に同行)

 8月14日 現地協力の3グループと会合

 8月15日 GPSデータ調査

 8月16日 ワークショップ:一般の村人から意見を聞くと同時に、「決定」をしてもらう。

 8月17日 各水路長老インタビュー

 8月18日 予備日

 8月19日 教会への投票結果報告

 8月20日 まとめ日

 8月21日 TEACAへの報告

 8月22日 帰国へ

 

(画像2) 森林利用調査中の様子

(画像2) 森林利用調査中の様子

 

こうした日程にて行った今回の渡航ですが、こちらの準備不足など以外に、いくつものトラブルに見舞われてしまいました。2日目の有識者にデータを確認してもらう時間が足りず、その日にデータの確認が1/3も終わらない。国勢調査が入っていたため、現地協力グループである小学校と中学校が休校となっている。森林利用調査のさいに、国立公園公社であるKINAPAが来て、トラブルを避けるために調査を中断する。水路調査のインタビューの1組が葬式のために来られなくなった等々。

こうした問題が、次々と出てきたのですが、ある意味幸運にもほとんど全てのトラブルが致命的とならずにすみました。というのは、初日の時間不足は、おじいちゃん達が我々の活動の重要性を、(少なくとも一部は)理解してくれたため、予備日に集まってくれることを約束してくれ、その日には5人全員が朝早く時間どおりに集まり開始できた。(ちなみに、徒歩1時間以上山道を歩いてきてくれている人もいます)。森林利用調査は、初日のミーティングに村の助役さんが来てくれ、重要性を認識してくれたことで、「追加で隣の村区のこの2か所も調査してくれ、この2つが主要ポイントでここを調査すればいいデータが集められるはずだ」と提案してくれたこと。休校にも関わらず、中学校において、受験勉強のために来ていた生徒を集めてくれて、担当の先生と一緒に会合が持てたこと。水路インタビューの葬式でこれなかった組は、たまたま比較的データが集まっている水路の方で、中止をしてもさほど大きな影響にはならなかったことなど、幸運としかいいようのない形で調査を終えることができました。

こうした幸運に支えられつつ、今回の渡航は、当初設定した目的を半ば達成した、逆に言うと半分は達成できなかったというような形になっています。それがどのように達成されたのか、されなかったのかの詳しい内容関しては、各個別日程の説明をしないとお伝えすることができないため、次回以降個別日程を説明していく中で説明させていただきたいと思っていますが、何より大きかった成果は、今まで正直なところ、我々の活動がどのように「森を守ること」に対して、もしくは「地域主導の森林管理の仕組み」に対して役立つのかというRafikiプロジェクトの意義に関して、半信半疑であったTEACAのリーダー達が、その重要性に関して深く理解してくれたことでしょう。我々の活動に対して「今回のあなたがたは我々の心を開いた」と言い、その重要性を理解してくれた時には、正直安堵の気持ちでいっぱいとなりました。もちろん、これは今までのRafikiプロジェクトのメンバーたちが積み上げてきたものや信頼が形になっていく中での話であり、今回渡航のメンバーはそれに乗っかったにすぎないことは言うまでもありません。

全体の概要については、今回説明していただいた形ですが、続々と個別日程の説明と、そしてさらには来年2月の渡航に向けて、またその後に向けてどのように動いていくつもりなのかを次回以降続々アップしていく記事の中でご説明さし上げます!

 

(画像3) TEACAリーダー、森林利用調査員との集合写真

(画像3) TEACAリーダー、森林利用調査員との集合写真

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