7月22日から実施していたキリマンジャロ山での事業調査が完了し、本日より事務局は平常稼働に戻ります。この期間中、連絡等が滞ることとなり、みなさまには大変ご迷惑をおかけいたしました。
現地ではキリマンジャロ州の肝いりで、州下の全環境NGOをまとめる上位組織が立ち上げられようとしており、当会のカウンターパートTEACA(Tanzania Environmental Action Association)の副代表アドンカム・ムチャロ氏が、その幹事に就任することとなった。
キリマンジャロ州では新州知事のもと、とくに森林劣化の問題に対して、すべてのステークホルダーを動員した大規模な植林で対抗していこうとの計画が打ち出されている。州下の環境NGOをまとめあげようとの動きも、その一環とみることができるだろう。
1本の矢より3本の矢の方が強靱であるのは道理だし、それぞれのNGOによる各個バラバラな取り組みを統一的な戦略とビジョンのもと、協調、協働できる体制を築くのであるのなら、それは決して悪いものではない。
しかしどうも動きが急である。一つにまとめ上げるというより、各NGOから要望を出させ、それを集約して海外から資金(=援助)を得ようとの魂胆が透けて見えないでもない。折しも某国際機関が資金を出すとの情報も流れている。もしそうした目論見のもとにこの組織が立ち上げられるのだとすれば、そのような組織は所詮は資金が流れてきた時だけの一過性のものでしかなく、初めから雲散霧消する運命にあるといえるだろう。
もちろんどのNGOも資金には窮しており、支援を得られるのであれば、それはそれで有り難いことには違いない。しかし有り難いことと、それが役に立つかはまた別次元の問題だ。俄仕立ての計画に実現可能性や効果を期待することはあまり出来ない。これまでキリマンジャロ山で取り組まれた多くの森林保全・植林プロジェクトが、援助資金が流れてきた時は華々しいが、金の切れ目が縁の切れ目でその後雲散霧消し、あとには何も残らないケースが殆どだからだ。植林しても、その後の補植、育林管理がされなければ、森林の再生に繋げることは難しい。
過去の失敗の教訓に学び、同じ轍を踏まぬためにも、この組織を単なる援助の受け皿としてスタートさせるのは大きな誤りであろう。州は森林保全活動における強力なパートナーとしてNGOを位置づけ、その持続可能性や取り組みの発展可能性にこそ目を向け、そうした視点のもとにこの新組織を立ち上げていくことが望まれる。
もちろんNGO側も政府や行政に阿ることなく、新組織を協調、協働によりNGOがさらなる力を発揮していくための絶好の機会ととらえ、統一的な戦略と目的をもって運営にのぞんでいく必要があるだろう。その意味で幹事NGOに抜擢されたTEACAの責務は重いといえる。